微分の公式全59個を重要度つきで整理

最終更新日 2019/05/12

このページでは、微分に関する公式を全て整理しました。基本的な公式から、難しい公式まで59個記載しています。

重要度★★★:必ず覚える
重要度★★☆:すぐに導出できればよい
重要度★☆☆:覚える必要はないが微分できるように

導関数の定義

関数 $f(x)$ の微分(導関数)は、以下のように定義されます:

重要度★★★
1.$f'(x)=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{f(x+h)-f(x)}{h}$

もっと詳しく:微分係数の定義と2つの意味

べき乗の微分

$x^r$ の微分(べき乗の微分)の公式です。

重要度★★★
2. $(x^r)’=rx^{r-1}$

特に、$r=2,3,-1,\dfrac{1}{2},\dfrac{1}{3}$ の場合が頻出です。

重要度★★☆
3. $(x^2)’=2x$
4. $(x^3)’=3x^2$
5. $\left(\dfrac{1}{x}\right)’=-\dfrac{1}{x^2}$
6. $(\sqrt{x})’=\dfrac{1}{2\sqrt{x}}$
7. $(\sqrt[3]{x})’=\dfrac{1}{3}x^{-\frac{2}{3}}$

もっと詳しく:
平方根を含む式の微分のやり方
三乗根、累乗根の微分

定数倍、和と差の微分公式

定数倍の微分公式です。

重要度★★★
8.$\{kf(x)\}’=kf'(x)$

和と差の微分公式です。

重要度★★★
9.$\{f(x)\pm g(x)\}’=f'(x)\pm g'(x)$

これらの公式は「微分の線形性」と呼ばれることもあります。

積の微分公式

積の微分公式です。数学IIIで習います。

重要度★★★
10.$\{f(x)g(x)\}’=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)$

もっと詳しく:積の微分公式の頻出問題6問

積の微分公式を使ったいろいろな微分公式です。

重要度★☆☆
11.$(xe^x)’=e^x+xe^x$
12.$(x\sin x)’=\sin x+x\cos x$
13.$(x\cos x)’=\cos x-x\sin x$
14.$(\sin x\cos x)’=\cos 2x$

もっと詳しく:
y=xe^xの微分、積分、グラフなど
xsinxの微分、グラフ、積分など
xcosxの微分、グラフ、積分など
y=sinxcosxの微分、グラフ、積分

商の微分

商の微分公式です。同じく数学IIIで習います。

重要度★★★
15.$\left\{\dfrac{f(x)}{g(x)}\right\}’=\dfrac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{g(x)^2}$

もっと詳しく:
分数関数の微分(商の微分公式)

特に、$f(x)=1$ である場合が頻出です。逆数の形の微分公式です。

重要度★★☆
16.$\left\{\dfrac{1}{f(x)}\right\}’=-\dfrac{f'(x)}{f(x)^2}$

逆数の形の微分公式の応用例です。

重要度★☆☆
17.$\left\{\dfrac{1}{\sin x}\right\}’=-\dfrac{\cos x}{\sin^2 x}$
18.$\left\{\dfrac{1}{\cos x}\right\}’=\dfrac{\sin x}{\cos^2 x}$
19.$\left\{\dfrac{1}{\tan x}\right\}’=-\dfrac{1}{\sin^2 x}$
20.$\left\{\dfrac{1}{\log x}\right\}’=-\dfrac{1}{x(\log x)^2}$

もっと詳しく:
cosec x(=1/sin x)の微分と積分の公式
sec x(=1/cos x)の微分と積分の公式
cot x(=1/tan x)の微分と積分の公式

三角関数の微分

三角関数:サイン、コサイン、タンジェントの微分公式です。

重要度★★★
21.$(\sin x)’=\cos x$
22.$(\cos x)’=-\sin x$
23.$(\tan x)’=\dfrac{1}{\cos^2x}$

もっと詳しく:タンジェントの微分を3通りの方法で計算する

指数関数の微分

指数関数の微分公式です。

重要度★★★
24.$(a^x)’=a^x\log a$

特に、$a=e$(自然対数の底)の場合が頻出です。

重要度★★★
25.$(e^x)’=e^x$

対数関数の微分

対数関数(log)の微分公式です。

重要度★★★
26.$(\log x)’=\dfrac{1}{x}$

絶対値つきバージョンも重要です。

重要度★★☆
27.$(\log |x|)’=\dfrac{1}{x}$

もっと詳しく:logxの微分が1/xであることの証明をていねいに

対数微分で得られる公式

両辺の対数を取ってから微分をする方法を対数微分と言います。対数微分を使えば、例えば、$y=x^x$ を微分できます。

重要度★☆☆
28.$(x^x)’=x^x(1+\log x)$

もっと詳しく:y=x^xの微分とグラフ

合成関数の微分

合成関数の微分は、それぞれの関数の微分の積になります。$y$ が $u$ の関数で、$u$ が $x$ の関数のとき、以下が成立します。

重要度★★★
29.$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{dy}{du}\dfrac{du}{dx}$

合成関数の微分(一次関数の形)

合成関数の微分公式は、一次関数の形で使われることが多いです。

重要度★☆☆
30.$\{f(Ax+B)\}’=Af'(Ax+B)$
31.$\{\sin(Ax+B)\}’=A\cos(Ax+B)$
32.$\{\cos(Ax+B)\}’=-A\sin(Ax+B)$
33.$\{\tan(Ax+B)\}’=\dfrac{A}{\cos^2(Ax+B)}$
34.$\{e^{Ax+B}\}’=Ae^{Ax+B}$
35.$\{a^{Ax+B}\}’=Aa^{Ax+B}\log a$
36.$\{\log(Ax+B)\}’=\dfrac{A}{Ax+B}$

もっと詳しく:
sin2x、cos2x、tan2xの微分

合成関数の微分(べき乗の形)

合成関数の微分公式は、べき乗の形で使われることも多いです。

重要度★★☆
37.$\{f(x)^r\}’=rf(x)^{r-1}f'(x)$

特に、$r=2$ の場合が頻出です。

重要度★☆☆
38.$\{f(x)^2\}’=2f(x)f'(x)$
39.$\{\sin^2x\}’=2\sin x\cos x$
40.$\{\cos^2x\}’=-2\sin x\cos x$
41.$\{\tan^2x\}’=\dfrac{2\sin x}{\cos^3 x}$
42.$\{(\log x)^2\}’=\dfrac{2\log x}{x}$

もっと詳しく:
sin二乗、cos二乗、tan二乗の微分
y=(logx)^2の微分、積分、グラフ

媒介変数表示された関数の微分公式

$x=f(t)$、$y=g(t)$ のように媒介変数表示された関数の微分公式です:

重要度★★★
43.$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\frac{dy}{dt}}{\frac{dx}{dt}}=\dfrac{g'(t)}{f'(t)}$

逆関数の微分公式

ある関数の微分 $\dfrac{dy}{dx}$ が分かっているとき、その逆関数の微分 $\dfrac{dx}{dy}$ を求める公式です。

重要度★★★
44.$\dfrac{dx}{dy}=\dfrac{1}{\frac{dy}{dx}}$

逆関数の微分公式を使って、逆三角関数の微分を計算できます。

重要度★☆☆ 高校数学範囲外
45.$(\mathrm{arcsin}\:x)’=\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}$
46.$(\mathrm{arccos}\:x)’=-\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}$
47.$(\mathrm{arctan}\:x)’=\dfrac{1}{1+x^2}$

もっと詳しく:
arcsinの意味、微分、不定積分
arccosの意味、微分、不定積分
arctanの意味、微分、不定積分
アークサイン、アークコサイン、アークタンジェントの微分

双曲線関数の微分

双曲線関数 sinh、cosh、tanh は、定義を知っていれば微分は難しくありません。双曲線関数の微分公式は以下のようになります。

重要度★☆☆ 高校数学範囲外
48.$(\sinh x)’=\cosh x$
49.$(\cosh x)’=\sinh x$
50.$(\tanh x)’=\dfrac{1}{\cosh^2 x}$

もっと詳しく:
sinhxとcoshxの微分と積分
tanhの意味、グラフ、微分、積分

さらに、逆双曲線関数の微分公式は以下のようになります。

重要度★☆☆ 高校数学範囲外
51.$(\mathrm{sech}\:x)’=-\tanh x\:\mathrm{sech}\:x$
52.$(\mathrm{csch}\:x)’=-\mathrm{coth}\:x\:\mathrm{csch}\:x$
53.$(\mathrm{coth}\:x)’=-\mathrm{csch}^2\:x$

もっと詳しく:
sech、csch、cothの意味、微分、積分

n次導関数

$n$ 次導関数(高階導関数)を求める公式です。もとの関数 → $n$ 次導関数という形で記載しました。

重要度★☆☆
54.$e^x \to e^x$
55.$a^x \to a^x(\log a)^n$
56.$\sin x \to \sin\left(x+\dfrac{n}{2}\pi\right)$
57.$\cos x \to \cos\left(x+\dfrac{n}{2}\pi\right)$
58.$\log x \to -(n-1)!(-x)^{-n}$
59.$\dfrac{1}{x} \to -n!(-x)^{-n-1}$

もっと詳しく:
いろいろな関数のn次導関数

次回は 微分係数の定義と2つの意味 を解説します。

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