$\cos x$ の逆関数を $\mathrm{arccos}\:x$ と書く。
$\mathrm{arccos}$ はアークコサインと読む。
arccosの意味、定義域、値域
$y=\cos x$(ただし、$0\leq x\leq\pi$)の逆関数を $y=\mathrm{arccos}\:x$ と書きます( $\mathrm{acos}\:x$ と書く人もいます)。
つまり($0\leq x\leq\pi$ のもとで)、
$y=\cos x\iff x=\mathrm{arccos}\:y$
が成立します。
具体例:$\cos\dfrac{\pi}{3}=\dfrac{1}{2}$ なので、$\mathrm{arccos} \dfrac{1}{2}=\dfrac{\pi}{3}$
~定義域と値域~
$y=\mathrm{arccos}\:x$ の定義域は、$-1\leq x\leq 1$、値域は $0\leq y\leq \pi$ です。
arccos xの微分
$y=\mathrm{arccos}\:x$ の微分が $y’=-\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}$ であることを証明します。
逆関数の微分公式:$\dfrac{dx}{dy}=\dfrac{1}{\frac{dy}{dx}}$ を使います。
$y=\mathrm{arccos}\:x$ は $x=\cos y$ と同じことです。この式の両辺を $y$ で微分すると、
$\dfrac{dx}{dy}=-\sin y$
となります。よって(逆関数の微分公式より)、$\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{1}{\sin y}$ です。
あとは、この右辺を $x$ で表してやります。$0< y<\pi$ より、$\sin y> 0$ なので、
$-\dfrac{1}{\sin y}=-\dfrac{1}{\sqrt{1-\cos^2y}}\\
=-\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}$
となります。よって、$\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}$ です。
→アークサイン、アークコサイン、アークタンジェントの微分
arccos xの積分
$\displaystyle\int \mathrm{arccos}\:xdx\\
=x\mathrm{arccos}\:x-\sqrt{1-x^2}+C$
であることを証明します。
まず、部分積分と、arccosの微分公式を使います:
$\displaystyle\int \mathrm{arccos}\:xdx\\
=\displaystyle\int 1\cdot\mathrm{arccos}\:xdx\\
=x\mathrm{arccos}\:x-\displaystyle\int x\cdot\dfrac{1}{-\sqrt{1-x^2}}dx$
この第二項の積分は、$1-x^2=t$ と置換すると($\frac{dt}{dx}=-2x$ なので)、
$\displaystyle\int x\cdot\dfrac{1}{\sqrt{t}}\dfrac{dt}{(-2x)}\\
=-\dfrac{1}{2}\displaystyle\int t^{-\frac{1}{2}}dt\\
=-t^{\frac{1}{2}}+C\\
=-\sqrt{1-x^2}+C$
となります。
次回は arctanの意味、微分、不定積分 を解説します。