分数関数 $\dfrac{f(x)}{g(x)}$ の微分は、$\dfrac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{g(x)^2}$
商の微分公式について
~覚え方~
分母は2乗するだけなので覚えやすいですが、分子がやや複雑で覚えにくいです。「分子 $f(x)$ を先に微分」と覚えましょう。
~分子が1の場合~
分子が $1$ の場合が頻出です:
$\dfrac{1}{f(x)}$ の微分は、$-\dfrac{f'(x)}{f(x)^2}$ となります。
マイナスをつけ忘れないように注意しましょう。
例題3問
例題1:$\dfrac{x^2+2}{x+1}$ を微分せよ。
分数関数の微分公式 $\dfrac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{g(x)^2}$ より、
$\dfrac{(x^2+2)'(x+1)-(x^2+2)(x+1)’}{(x+1)^2}\\
=\dfrac{2x(x+1)-(x^2+2)}{x^2+2x+1}\\
=\dfrac{x^2+2x-2}{x^2+2x+1}$
となります。
例題2:$\dfrac{\log x}{\sqrt{x}}$ を微分せよ。
ルートの微分:$(\sqrt{x})’=\dfrac{1}{2\sqrt{x}}$
対数関数の微分:$(\log x)’=\dfrac{1}{x}$
を利用します。分数関数の微分公式 $\dfrac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{g(x)^2}$ より、
$\dfrac{(\log x)’\sqrt{x}-\log x(\sqrt{x})’}{(\sqrt{x})^2}\\
=\dfrac{\frac{\sqrt{x}}{x}-\frac{\log x}{2\sqrt{x}}}{x}\\
=\dfrac{2-\log x}{2x\sqrt{x}}$
(最後に分母分子に $2\sqrt{x}$ をかけました)
関連:平方根を含む式の微分のやり方
関連:logxの微分が1/xであることの証明をていねいに
例題3:$\dfrac{1}{x^3+1}$ を微分せよ。
分子が $1$ のバージョン(計算が簡単)です。商の微分公式より、
$-\dfrac{(x^3+1)’}{(x^3+1)^2}\\
=-\dfrac{3x^2}{(x^3+1)^2}$
分母は展開しなくてもOKです(もちろん展開してもOKです)。
公式の証明
微分の定義に従って地道に計算していきます。見た目は少し複雑ですが、難しいことはしていません。
$\dfrac{f(x)}{g(x)}$ の導関数は、
$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{1}{h}\left\{\dfrac{f(x+h)}{g(x+h)}-\dfrac{f(x)}{g(x)}\right\}$
です。
ここで、$\{\}$ の中身は以下のように変形できます:
$\dfrac{f(x+h)g(x)-f(x)g(x+h)}{g(x+h)g(x)}$
(通分した)
$=\dfrac{f(x+h)g(x)-f(x)g(x)}{g(x+h)g(x)}\\
+\dfrac{f(x)g(x)-f(x)g(x+h)}{g(x+h)g(x)}$
(同じもの $f(x)g(x)$ を引いて足した)
$=\dfrac{\{f(x+h)-f(x)\}g(x)}{g(x+h)g(x)}\\
-\dfrac{f(x)\{g(x+h)-g(x)\}}{g(x+h)g(x)}$
この式に $\dfrac{1}{h}$ をかけて $h\to 0$ の極限を取ると、
1つめの分数は $\dfrac{f'(x)g(x)}{g(x)^2}$
2つめの分数は $\dfrac{-f(x)g'(x)}{g(x)^2}$
となり、分数関数の微分公式を得ます。
(ただし、$g(x+h)\to g(x)$、$\dfrac{f(x+h)-f(x)}{h}\to f'(x)$、$\dfrac{g(x+h)-g(x)}{h}\to g'(x)$ を使いました)
次回は 不定積分、定積分を計算してくれるツール を解説します。