$y=\tan x$ を微分すると、$y’=\dfrac{1}{\cos^2x}$ になる。
1. 定義に従って計算する方法
$f'(x)=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{f(x+h)-f(x)}{h}$
を使って計算します。
微分の定義より、
$(\tan x)’\\
=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\tan(x+h)-\tan x}{h}$
となります。
ここで、タンジェントの加法定理:
$\tan(x+h)=\dfrac{\tan x+\tan h}{1-\tan x\tan h}$
を使うと上式は、
$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{1}{h}\left\{\dfrac{\tan x+\tan h}{1-\tan x\tan h}-\tan x\right\}\\
=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{1}{h}\cdot\dfrac{\tan h+\tan^2x\tan h}{1-\tan x\tan h}\\
=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\tan h}{h}\cdot\dfrac{1}{1-\tan x\tan h}\cdot (1+\tan^2x)\\
=1\cdot 1\cdot (1+\tan^2x)$
となります。
さらに、$1+\tan^2x=\dfrac{1}{\cos^2 x}$ という関係式を使うと、上式は
$\dfrac{1}{\cos^2 x}$ となります。
2. sin と cos になおして計算
微分の定義より、
$(\tan x)’\\
=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\tan(x+h)-\tan x}{h}\\
=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{1}{h}\left\{\dfrac{\sin(x+h)}{\cos(x+h)}-\dfrac{\sin x}{\cos x}\right\}\\
=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{1}{h}\dfrac{\sin(x+h)\cos x-\cos(x+h)\sin x}{\cos(x+h)\cos x}$
となります。
ここで、sinの加法定理:
$\sin(\alpha-\beta)=\sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta$
で $\alpha\to x+h$、$\beta\to x$ とすることにより、
上式の分子 $=\sin h$ が分かります。
よって、
$(\tan x)’\\
=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\sin h}{h}\dfrac{1}{\cos(x+h)\cos x}\\
=1\cdot\dfrac{1}{\cos^2x}\\
=\dfrac{1}{\cos^2x}$
となります。
3. 分数関数の微分公式を使う方法
分数関数の微分公式:
$\left\{\dfrac{f(x)}{g(x)}\right\}’=\dfrac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{g(x)^2}$
参考:分数関数の微分(商の微分公式)
において、$f(x)=\sin x$、$g(x)=\cos x$ とすると、
$(\tan x)’\\
=\left\{\dfrac{\sin x}{\cos x}\right\}’\\
=\dfrac{(\sin x)’\cos x-\sin x(\cos x)’}{\cos^2x}$
となります。ここで、
$(\sin x)’=\cos x$
$(\cos x)’=-\sin x$
を使うと、上式は、
$\dfrac{\cos x\cos x-\sin x(-\sin x)}{\cos^2x}\\
=\dfrac{\cos^2x+\sin^2x}{\cos^2x}$
となります。
最後に、$\sin^2x+\cos^2x=1$ という関係式を使うと、上式は
$\dfrac{1}{\cos^2x}$
となります。
次回は y=x+1/xの最小値、グラフ、漸近線 を解説します。