いろいろな関数のn次導関数

最終更新日 2017/11/07

n次導関数の公式を10個紹介します。

指数関数

$e^x$ の $n$ 次導関数は、$e^x$

$(e^x)’=e^x$ なので、何回微分しても変わりません。

$a^x$ の $n$ 次導関数は、$a^x(\log a)^n$

ただし、$a> 0$ です。指数関数 $a^x$ を微分すると、$a^x\log a$ となることから分かります。微分するたびに $\log a$ 倍されます。

三角関数

$\sin x$ の $n$ 次導関数は、$\sin\left(x+\dfrac{n}{2}\pi\right)$

証明してみましょう。まず、$n=1$ のときは、
$(\sin x)’=\cos x=\sin\left(x+\dfrac{\pi}{2}\right)$
なので正しいです。また、
$\sin\left(x+\dfrac{n}{2}\pi\right)$
を微分すると
$\cos\left(x+\dfrac{n}{2}\pi\right)=\sin\left(x+\dfrac{n+1}{2}\pi\right)$
となるので、数学的帰納法により上記の公式が成立します。

$\cos x$ の $n$ 次導関数は、$\cos\left(x+\dfrac{n}{2}\pi\right)$

証明は $\sin$ と同じなので省略します。

ちなみに、$\tan x$ の $n$ 次導関数は、非常に複雑な式になります。

対数

$\log x$ の $n$ 次導関数は、$-(n-1)!(-x)^{-n}$

証明してみましょう。まず、$n=1$ のときは、
$(\log x)’=\dfrac{1}{x}=-0!(-x)^{-1}$
なので正しいです($0!=1$ です)。また、
$-(n-1)!(-x)^{-n}$
を微分すると
$n!(-x)^{-n-1}\cdot (-1)$
となるので、数学的帰納法により上記の公式が成立します。

$\dfrac{1}{x}$ の $n$ 次導関数は、$-n!(-x)^{-n-1}$

$\dfrac{1}{x}$ の $n$ 階微分は $\log x$ の $(n+1)$ 階微分なので、$\log x$ の $n$ 階微分の公式で $n\to n+1$ とすれば分かります。

関数の積

$e^x\sin x$ の $n$ 次導関数は、$2^{\frac{n}{2}}e^x\sin\left(x+\dfrac{n}{4}\pi\right)$

証明してみましょう。まず、$n=1$ のときは、三角関数の合成公式を使うと、
$(e^x\sin x)’\\
=e^x\sin x+e^x\cos x\\
=\sqrt{2}e^x\sin\left(x+\dfrac{\pi}{4}\right)$
となるので正しいです。これと同様に、
$2^{\frac{n}{2}}e^x\sin\left(x+\dfrac{n}{4}\pi\right)$
を微分すると、
$2^{\frac{n+1}{2}}e^x\sin\left(x+\dfrac{(n+1)}{4}\pi\right)$
になることも分かるので、数学的帰納法により上記の公式が成立します。

$e^x\cos x$ の $n$ 次導関数は、$2^{\frac{n}{2}}e^x\cos\left(x+\dfrac{n}{4}\pi\right)$

証明は $e^x\sin x$ と同じなので省略します。

$xe^x$ の $n$ 次導関数は、$(x+n)e^x$

証明してみましょう。まず、$n=1$ のときは、y=xe^xの微分、積分、グラフなど で求めたように、
$(xe^x)’=(x+1)e^x$
になります。また、
$(x+n)e^x$ を微分すると、
$(x+n)e^x+e^x=(x+n+1)e^x$
となります。よって、数学的帰納法により上記の公式が成立します。

$x\sin x$ の $n$ 次導関数は、$x\sin\left(x+\dfrac{n}{2}\pi\right)-n\cos\left(x+\dfrac{n}{2}\pi\right)$

帰納法で証明できます。省略します。練習問題としてお使いください。

次回は テイラー展開の難しい式の意味を分かりやすく説明 を解説します。

ページ上部へ戻る