線形代数の意味、何の役に立つか、などを紹介

最終更新日 2018/12/28

線形代数について、何の役に立つか(数学の中での活躍例数学以外への応用例)および重要な概念について紹介します。

線形代数とは(行列に関する話限定)

$\begin{pmatrix}2&3\\4&5\end{pmatrix}$ のように、数字を並べたものを行列と言います。

線形代数とは、行列についての学問(という意味で使われることが多い)です。

※よりきちんと言うと、線形空間や線形写像に関する学問ですが、このページでは、「行列に関する学問」の部分に限定して、応用や重要な概念を説明します。

線形代数が何の役に立つか(数学への応用)

連立一次方程式が解けます。

線形代数で習う掃き出し法を使えば、
$\begin{eqnarray}\begin{cases}2x+3y=7\\3x+2y=3\end{cases}\end{eqnarray}$
のような、連立一次方程式を機械的に解くことができます。この問題は式が2つなので、中学生でも解けますが、掃き出し法は式の数が増えても使えます。

連立一次方程式が「高速に」解けます。

LU分解という線形代数の道具を使えば、サイズが大きい連立方程式を高速に解くことができます。
関連:LU分解のやり方と連立方程式を解くときのうれしさ

多次元の話を1次元の話と同じように考えることができる場合があります。

例えば、2次元のガウス分布は、行列を使わないで書くと、少し汚い式をしていますが、共分散行列を使うと1次元のガウス分布と似たような綺麗な式になります。

回転や反転など、幾何学的な操作を簡潔に表現できます。

「行列の積」と「操作の合成」が対応するため、操作の連続や組合せも行列の積で簡潔に表現できます。

多変数の二次関数の最大化や最小化に使えます。

固有値、固有ベクトルおよび二次形式の概念を知っていれば、多変数の二次関数の最大値や最小値を求めることができます。

線形代数が何の役に立つか(数学以外への応用)

データ分析への応用

・行列の特異値分解を活用した主成分分析という手法を使えば、データの中から重要な成分を抽出することができます。
・最小二乗法という手法を使えば、データを説明するもっともらしい線形関数を決定することができます。

物理学への応用

・力学における回転操作は行列を使って簡潔に記述できます。
・量子力学の理論は無限次元の行列を使って記述することができます。

身近な情報システムへの応用

・検索エンジンの有名なアルゴリズムである、Page Rank は固有値、固有ベクトルの考え方に関係しています。
・推薦アルゴリズム(誰にどんな商品をおすすめすれば良いかを計算する手法)に、非負値行列分解という手法が(道具として)使われることがあります。

線形代数の重要な概念

多くの理系が大学1年生で習う重要な概念(キーワード)を6個紹介します。

・一次結合、線形結合
一次結合(線形結合)の意味と様々な例

・基底
正規直交基底(定義、求め方、性質)

・行列式
行列式の公式、性質一覧

・固有値、固有ベクトル
固有値と固有ベクトルの求め方と計算ツール

・二次形式

・余因子展開、掃き出し法

補足

・このページの内容は、本当は線形代数というより行列代数と言ったほうが方が良いかもしれません。
・応用例は他にもたくさんあります。(まだまだ重要な応用例が多数あり、記載しつくせていないと思います)

次回は アフィン変換の意味と4つの基本要素 を解説します。

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