行列式の公式、性質一覧

最終更新日 2019/05/12

行列 $A$ の $ij$ 成分を $a_{ij}$ と書きます。
$A,B$ を $n\times n$ 行列、$C$ を $m\times m$ 行列とします。

~成分表示~
$n=2$ のとき、
$\det A=a_{11}a_{22}-a_{12}a_{21}$
($2\times 2$ 行列の行列式)

$n=3$ のとき、
$\det A=a_{11}a_{22}a_{33}+a_{12}a_{23}a_{31}+a_{13}a_{21}a_{32}$
$-a_{11}a_{23}a_{32}-a_{12}a_{21}a_{33}-a_{13}a_{22}a_{31}$
($3\times 3$ 行列の行列式)

~基本変形と行列式~
二つの行を交換すると、行列式は $-1$ 倍される。
二つの列を交換すると、行列式は $-1$ 倍される。

ある行を $k$ 倍すると行列式も $k$ 倍になる。
ある列を $k$ 倍すると行列式も $k$ 倍になる。
$\det kA=k^n\det A$

ある行の定数倍を他の行に加えても行列式は変わらない。
ある列の定数倍を他の列に加えても行列式は変わらない。

同じ行が2つ以上ある行列の行列式は $0$
同じ列が2つ以上ある行列の行列式は $0$

~いろいろな行列の行列式~
$\det I=1$
(単位行列の行列式は $1$)

$\det U=1$
(直交行列、ユニタリー行列の行列式は $1$)

$\det A^{-1}=\dfrac{1}{\det A}$
(逆行列の行列式はもとの行列の行列式の逆数)

$\det A^k=(\det A)^k$
(べき乗の行列式はもとの行列の行列式のべき乗)

$\det A^{\top}=\det A$
(転値しても行列式は変わらない)

対角行列の行列式は、対角成分の積と等しい。
上三角行列の行列式は、対角成分の積と等しい。
下三角行列の行列式は、対角成分の積と等しい。

~ブロック行列~
$\det\begin{pmatrix}A&P\\O&C\end{pmatrix}=\det A\det C$
$\det\begin{pmatrix}A&O\\Q&C\end{pmatrix}=\det A\det C$
$\det\begin{pmatrix}A&B\\B&A\end{pmatrix}=\det(A+B)\det(A-B)$

($A,B$ は $n\times n$ 行列、$C$ は $m\times m$ 行列、$O$ の各成分は $0$)

~積の行列積~
$\det AB=\det A\det B$
(積の行列式は行列式の積)

$P$ が $m\times n$、$Q$ が $n\times m$ 行列で $m\leq n$ のとき、
$\det PQ=\displaystyle\sum_{I\subseteq \{1,2,\cdots,n\},|I|=m} \det P_I\det Q_I$
(コーシービネの公式)

~その他~
$\det A=$ 全ての $A$ の固有値の積

追記(20170428):公式に誤りがあったため修正しました。教えていただきありがとうございました。

次回は 行列の余因子の意味、計算例、逆行列との関係 を解説します。

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