確率密度関数から期待値と分散を求める方法

最終更新日 2019/04/07

確率密度関数が $f(x)$ のとき、
期待値(平均)は $\mu=\displaystyle\int xf(x)dx$
分散は $\sigma^2=\displaystyle\int(x-\mu)^2f(x)dx$
(ただし、積分範囲は確率密度関数の定義域)

期待値の求め方と例題

密度関数 $f(x)$ に $x$ をかけて積分すれば期待値になります。以下の簡単な例題(指数分布という有名な分布)で計算してみましょう。

例題1

確率密度関数が $f(x)=e^{-x}$(定義域は $x\geq 0$)で表される確率分布の期待値 $\mu$ を計算せよ。

解答

期待値は、公式より
$\mu=\displaystyle\int_0^{\infty}xe^{-x}dx$
となります。これは部分積分を使うことで計算できます:

$\left[x\cdot(-1)e^{-x}\right]_0^{\infty}-\displaystyle\int_0^{\infty} (-1)e^{-x}dx\\
=\displaystyle\int_0^{\infty} e^{-x}dx\\
=\left[-e^{-x}\right]_0^{\infty}\\
=1$

よって、期待値は $1$ です。

部分積分の詳細:
部分積分について、基本的な使い方やコツを分かりやすく解説
xe^{-x}の不定積分と広義積分

分散の求め方と例題

次は、分散です。公式 $\sigma^2=\displaystyle\int(x-\mu)^2f(x)dx$ を使ってさきほどの指数分布の分散を計算してみましょう。

例題2

確率密度関数が $f(x)=e^{-x}$(定義域は $x\geq 0$)で表される確率分布の分散 $\sigma^2$ を計算せよ。

解答

$\sigma^2=\displaystyle\int_0^{\infty}(x-1)^2e^{-x}dx$
あとはただ計算するだけです。まずは展開しましょう:
$\displaystyle\int_0^{\infty} x^2e^{-x}dx-\displaystyle\int_0^{\infty}2xe^{-x}+\displaystyle\int_0^{\infty}e^{-x}dx$

詳細は省略しますが、
・2項目は例題1で計算したので $-2$ と分かります。
・3項目は $1$ になります。
・1項目は部分積分を2回すると、
$\left[(-x^2-2x-2)e^{-x}\right]_0^{\infty}\\
=2$
となります。
よって、$\sigma^2=2-2+1=1$ となります。

分散の求め方その2

実は、
$\sigma^2=\displaystyle\int x^2f(x)dx-\mu^2$
という公式を使っても分散を計算することができます。こちらの公式の方が計算が楽になることが多いです。例で確認してみましょう。

例題2の別解

例題1より $\mu=1$ が分かっているので分散は、
$\sigma^2=\displaystyle\int_0^{\infty}x^2e^{-x}dx-1^2$
この積分はさっきの解答と同様に計算する必要があります。

定積分の値は $2$ なので、
$\sigma^2=2-1=1$
となります。

確かに少しだけ計算が楽になりました!

次回は 累積分布関数の意味および確率密度関数との関係 を解説します。

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