累積分布関数の意味および確率密度関数との関係

最終更新日 2019/02/27

確率変数 $X$ に対して、
$F(x)=P(X\leq x)$
($X$ の値が $x$ 以下になる確率)

のことを累積分布関数と言う。

累積分布の例

表、裏が出る確率がそれぞれ $\dfrac{1}{2}$ であるようなコインを3回投げたとき、表が出る回数を
$X$ とします。

このとき、
表が0回出る確率は $\dfrac{1}{8}$
表が1回出る確率は $\dfrac{3}{8}$
表が2回出る確率は $\dfrac{3}{8}$
表が3回出る確率は $\dfrac{1}{8}$
と計算できます。

累積分布の例

この結果をふまえると、
表が0回以下の確率は $\dfrac{1}{8}$
表が1回以下の確率は $\dfrac{1}{8}+\dfrac{3}{8}=\dfrac{1}{2}$
表が2回以下の確率は $\dfrac{1}{8}+\dfrac{3}{8}+\dfrac{3}{8}=\dfrac{7}{8}$
表が3回以下の確率は $1$
です。この状況を表現するのが累積分布関数 $F(x)$ です。

確率密度関数との関係

コインの例は離散分布でしたが、連続分布の場合も同じく、
$F(x)=P(X\leq x)$
(値が $x$ 以下になる確率)
のことを累積分布関数と言います。

$F(a)$ は、値が $a$ 以下になる確率を表すので、確率密度関数 $p(x)$ の $[-\infty,a]$ 部分の面積になります。
つまり、
$F(a)=\displaystyle\int_{-\infty}^ap(x)dx$
が成立します。

累積分布と確率密度の関係
確率密度関数を積分すると、累積分布関数になるというわけです。逆に、累積分布関数を微分すると確率密度関数になります。

例題

平均 $\dfrac{1}{\lambda}$ の指数分布の確率密度関数は、$p(x)=\lambda e^{-\lambda x}\:(x\geq 0)$ で与えられる。この分布の累積分布関数を求めよ。

解答:
$F(a)=\displaystyle\int_0^a\lambda e^{-\lambda x}dx\\
=[-e^{-\lambda x}]_0^a\\
=1-e^{-\lambda a}$
となります。

累積分布の性質

・累積分布関数は、単調非減少です。

・累積分布関数は、右連続です(右側から近づいていったときにジャンプしないというイメージです)。左連続とは限りません。

・$\displaystyle\lim_{x\to -\infty}F(x)=0$、$\displaystyle\lim_{x\to\infty}F(x)=1$

次回は キュムラントとキュムラント母関数 を解説します。

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