ある式の二乗で表された多項式を完全平方式と言う。
完全平方式について、言葉の意味と関連する例題を解説します。
完全平方式とは
ある(整数係数)多項式の二乗で表された多項式を完全平方式と言います。
例えば、$x^2-4x+4$ という式は $(x-2)^2$ という完全平方式の形で表すことができます。
変数が複数の場合も同様です。例えば、$a^2-6ab+9b^2$ という式は $(a-3b)^2$ という完全平方式の形で表すことができます。
完全平方式の形で表すことができるといろいろ嬉しいことがあります!
完全平方式を作る例題
例題
$x^2-4xy+4y^2$$+6x-12y+9$ を完全平方式の形で表わせ。
解答
$x$ についての二次式とみて整理してみます:
$x^2+(-4y+6)x$$+4y^2-12y+9$
これを平方完成すると、完全平方式の形になります:
$(x-2y+3)^2$
関連:平方完成のやり方と練習問題を詳しく解説
関連:(a+b+c)^2の展開公式
ちなみに、$y$ についての二次式とみても同じ完全平方式を作ることができますが、$y^2$ の係数が $4$ なので少しめんどうです。完全平方式を作るときは、
二次の係数が $1$ である文字について整理→平方完成
と覚えましょう。
平方完成、判別式との関係
例題2
$x$ についての二次式 $x^2+2ax+a$ が完全平方式となるような $a$ の値を全て求めよ。
平方完成による解答
与えられた式を平方完成すると、
$x^2+2ax+a^2-a^2+a\\
=(x+a)^2-a^2+a$
となります。これが完全平方式となるための条件は、
$-a^2+a=0$
となることです。
この二次方程式は、
$-a(a-1)=0$
と変形できます(→二次方程式を因数分解で解く例題4問)。よって答えは $a=0,1$
判別式による解答
$x^2+2ax+a$ が完全平方式となる
$\iff$ 二次方程式 $x^2+2ax+a=0$ が重解を持つ
$\iff$ 判別式 $D$ が $0$ となる。
よって、$(2a)^2-4\cdot a=0$
となります。つまり、
$4a^2-4a=0$
$4a(a-1)=0$
よって答えは $a=0,1$
次回は 二次方程式の例題4問 を解説します。