$\displaystyle\int \dfrac{1}{e^x+1}dx=x-\log(e^x+1)+C$
1/e^x+1の不定積分
上記の公式を証明してみましょう。
まず、
$\displaystyle\int\dfrac{1}{e^x+1}dx\\
=\displaystyle\int\dfrac{(e^x+1)-e^x}{e^x+1}dx\\
=\displaystyle\int\left(1-\dfrac{e^x}{e^x+1}\right)dx\\
=x-\displaystyle\int\dfrac{e^x}{e^x+1}dx$
と変形します。
第二項の積分に、
$\displaystyle\int\dfrac{f'(x)}{f(x)}dx=\log|f(x)|+C$
という公式を($f(x)=e^x+1$ として)使うと、上の式は
$x-\log|e^x+1|+C$
となります。$e^x+1$ は常に $0$ より大きいので絶対値が外せます。よって、答えは、
$x-\log(e^x+1)+C$
となります。
練習問題
$\displaystyle\int\dfrac{f'(x)}{f(x)}dx=\log|f(x)|+C$
という公式は、いろいろな積分に使えます。
(1) $\displaystyle\int\dfrac{1}{1+e^{-x}}dx$ を計算せよ。
分母と分子に $e^x$ をかけると、
$\displaystyle\int\dfrac{e^x}{e^x+1}dx$
となります。先ほどと同じように積分すると、
$\log(e^x+1)+C$
となります。
※$\dfrac{1}{1+e^{-x}}$ はシグモイド関数と呼ばれる有名な関数です。
(2) $\displaystyle\int\dfrac{1}{x\log x}dx$ を計算せよ。
$\dfrac{1}{x\log x}\\
=\dfrac{\frac{1}{x}}{\log x}\\
=\dfrac{(\log x)’}{\log x}$
と見ることで、$\displaystyle\int\dfrac{f'(x)}{f(x)}dx=\log|f(x)|+C$ という公式が($f(x)=\log x$ として)使えます。
答えは、
$\displaystyle\int\dfrac{1}{x\log x}=\log|\log x|+C$
となります。
logx、xlogx、logx/x、1/xlogxの積分
(3) $\displaystyle\int\tan xdx$ を計算せよ。
$\tan x\\
=-\dfrac{-\sin x}{\cos x}\\
=-\dfrac{(\cos x)’}{\cos x}$
と見ることで、$\displaystyle\int\dfrac{f'(x)}{f(x)}dx=\log|f(x)|+C$ という公式が使えます。
答えは、
$\displaystyle\int\tan x=-\log|\cos x|+C$
となります。
tanx、tan^2x、tan^3xの不定積分
まとめ
積分したい関数を、なんとかして $\dfrac{f'(x)}{f(x)}$ という形に変形すれば、
$\displaystyle\int\dfrac{f'(x)}{f(x)}dx=\log|f(x)|+C$
という公式を使って積分できます。
$\dfrac{f'(x)}{f(x)}$ という形に変形できる関数にはいくつかのパターンがあるので、たくさんの例題を解いて慣れていきましょう。
次回は e^xsinxとe^xcosxの積分公式 を解説します。