遠心力の意味と計算する3つの公式【証明つき】

最終更新日 2019/05/15

遠心力について詳しく解説します。
遠心力の意味や、遠心力を計算するための3つの公式と、その証明を紹介します。

遠心力とは

遠心力とは、回転運動をする物体にとって、円の中心から離れる向きにかかる(ように感じる)力のことです。

遠心力の例:

遠心力のイメージ

車に乗っていて左に曲がるとき右側に引っ張られる(円の中心から離れる)ような力を感じると思います。これが遠心力です。

遠心力は速さの二乗に比例する

円の半径が一定の場合、遠心力の大きさは速さの二乗に比例します。

例えば、同じカーブを曲がるとき、
・速さが2倍だと4倍の遠心力がかかる
・速さが3倍だと9倍の遠心力がかかる
と言えます。

そのため、カーブを曲がるときは十分に減速しておかないと、大きな遠心力を受けるので危ない!と言えます。

実際、$v$ を速さ、$r$ を円運動の半径とすると、遠心力の大きさは
$F=m\dfrac{v^2}{r}$
で計算されます(最後に証明します)。遠心力の大きさは速さ $v$ の二乗に比例することが分かります。

遠心力を計算する公式

遠心力の大きさを計算する公式は、さきほど説明した
【速さと半径が分かっている場合】
$F=m\dfrac{v^2}{r}$

の他にも
【半径と角速度が分かっている場合】
$F=mr\omega^2$

【速さと角速度が分かっている場合】
$F=mv\omega$

があります。$\omega$ は角速度(1秒あたり何ラジアン進むか)です。

3つの公式は覚えなくてもよい

遠心力の大きさをを計算する公式は3つありますが、1つだけ覚えておけばよいです。

実際、$v=r\omega$ という公式(→補足)を
$F=m\dfrac{v^2}{r}$
に代入すれば
$F=mr\omega^2$
という公式をすぐに導出することができます。また、$r$ を消去すれば
$F=mv\omega$
を導出することができます。

補足:
$v=r\omega$ は重要な公式なので知らなかった人はぜひ覚えておきましょう。実際、
おうぎ形の弧の長さ=半径×中心角
おうぎ形の弧長、面積、中心角、半径

なので、
1秒間に進む弧の長さ=半径×1秒間に進む中心角
つまり、
$v=r\omega$
が成立します。

遠心力の公式の証明

遠心力の公式のうち、$F=mr\omega^2$ を証明します。

ちなみに、残りの2つは $v=r\omega$ を使えば導出できます。

きちんと証明を理解するためには、微分が必要です。

証明:
加速度 $\overrightarrow{a}$ で運動する物体には、$-m\overrightarrow{a}$ の慣性力が働きます。これが遠心力です。

あとは、円運動の加速度 $\overrightarrow{a}$ を計算します。

まず、円運動の中心を原点とする座標平面で考えると、半径 $r$ の円運動をしている物体の時刻 $t$ における位置は
$(r\cos\omega t,r\sin\omega t)$
と表すことができます。

速度は位置を時刻で微分したものなので、
$\overrightarrow{v}=(-r\omega \sin\omega t,r\omega \cos\omega t)$
となります。

さらに、加速度は速度の微分なので、
$\overrightarrow{a}=(-r\omega^2 \cos\omega t,-r\omega^2\sin\omega t)$

よって、遠心力は
$-m\overrightarrow{a}=(mr\omega^2\cos\omega t,mr\omega^2\sin\omega t)$
となります。

つまり、
・遠心力の向きは円の外側に向かう
・遠心力の大きさは $mr\omega^2$
であることが分かります。

次回は 1ニュートンは何キログラム重なのか解説 を解説します。

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