$\displaystyle\int \dfrac{1}{x}dx=\log |x|+C$
右辺の絶対値を忘れても完全な間違いではないが、つけた方がよい。
1/xの積分
$\log x$ の定義域は $x>0$ です。$\log x$ を微分すると $\dfrac{1}{x}$ になります。
参考:logxの微分が1/xであることの証明をていねいに
よって、$x>0$ の範囲で $\displaystyle\int\dfrac{1}{x}dx=\log x+C$ となります。
次に、絶対値をつけた $\log |x|$ という関数の微分について考えてみます。
・$x > 0$ のとき、$\log x$ の微分は $\dfrac{1}{x}$
・$x < 0$ のとき、$\log (-x)$ の微分は $\dfrac{(-x)’}{(-x)}=\dfrac{1}{x}$
となり、$x\neq 0$ 全体で $\dfrac{1}{x}$ になります。
よって、$x\neq 0$ という広い範囲で $\displaystyle\int\dfrac{1}{x}dx=\log |x|+C$ となります。
どちらの式も正しいですが、広い範囲で成立する式を公式の方が嬉しいので、絶対値つきの式が公式として定着しています。
注意:このページの対数の底は全て $e$(ネイピア数)です。
絶対値つきの公式が必要な例題
例題
定積分 $\displaystyle\int_{-2}^{-1}\dfrac{1}{x}dx$ を計算せよ。
解答
定積分の範囲が $x<0$ の一部を含んでいるので、$x < 0$ でも成立する公式
$\displaystyle\int\dfrac{1}{x}dx=\log |x|+C$
を使う必要があります。
計算すると、
$\displaystyle\int_{-2}^{-1}\dfrac{1}{x}dx\\
=\left[\log |x|\right]_{-2}^{-1}\\
=\log 1-\log 2\\
=-\log 2$
となります。
補足、まめ知識
・絶対値つきの公式が必要ない問題でも、絶対値を付け忘れると減点される可能性があります。注意しましょう。
・上の例題は $x=-y$ と置換することで積分範囲を $x>0$ にすることもできます。
次回は ルートxを含む式の積分公式 を解説します。