第一宇宙速度と第二宇宙速度の意味と導出

最終更新日 2019/07/15
第一宇宙速度と第二宇宙速度の意味

第一宇宙速度とは、地球の重力に負けて落ちてこないように物を投げるのに必要な最低限の速度のことです。

第二宇宙速度とは、地球の重力を振り切ってどこまでも遠くに飛んでいくように物を投げるのに必要な最低限の速度のことです。

第一宇宙速度と第二宇宙速度について、意味や計算式の導出方法を解説します。

第一宇宙速度とは

第一宇宙速度とは、地球の重力に負けて落ちてこないように物を投げるのに必要な最低限の速度のことです。

地球上の表面(海抜0メートル)で物を投げる(例えば、ロケットを打ち出す)と、普通は重力によって落ちてきます。

第一宇宙速度の意味

しかし、ある速さ以上で物を投げると、落ちてきません。具体的には、秒速 $7.9\:\mathrm{km}$(時速 $28400\:\mathrm{km}$)以上の速さで物を水平方向に投げると、地球上の表面を周り続けて、落ちてきません(※)。この限界ギリギリの速度(秒速およそ $7.9\:\mathrm{km}$)のことを、第一宇宙速度と言います。

※宇宙速度について考えるときは、一般的に空気抵抗を無視して考えます。このページでも空気抵抗は無視しています。

第二宇宙速度とは

第二宇宙速度とは、地球の重力を振り切ってどこまでも遠くに飛んでいくように物を投げるのに必要な最低限の速度のことです。

第一宇宙速度より速い速さで物を投げると、地球に戻ってきませんが、地球のまわりを楕円を描くようにぐるぐる回る場合もあります。

第二宇宙速度の意味

しかし、さらに速い速さで物を投げると、地球からどこまでも遠くに飛んでいきます。この状況を「地球の重力を振り切る」と言うことにします。具体的には、秒速 $11.2\:\mathrm{km}$(時速 $40300\:\mathrm{km}$)以上の速さで物を投げると、地球の重力を振り切ります。この限界ギリギリの速度(秒速およそ $11.2\:\mathrm{km}$)のことを、第二宇宙速度と言います。

第一宇宙速度の計算式

第一宇宙速度は、
$v_1=\sqrt{\dfrac{GM}{R}}$
という計算式で得ることができます。

ただし、$G$ は万有引力定数、$M$ は地球の質量、$R$ は地球の半径です。

第一宇宙速度の計算式の導出:
投げる物体の質量を $m$ とします。
第一宇宙速度で打ち出された物体は、地球の表面ギリギリを等速円運動します。

円運動するときに加わる遠心力は、
$m\dfrac{v_1^2}{R}$
です。遠心力の意味と計算する3つの公式【証明つき】

一方、地球による重力の大きさは、
$\dfrac{GMm}{R^2}$
です。

この2つの力が釣り合うので、
$m\dfrac{v_1^2}{R}=\dfrac{GMm}{R^2}$
が成立します。

これを $v_1$ について解くと、$v_1=\sqrt{\dfrac{GM}{R}}$ が分かります。実際に、$G,M,R$ の値を入れて計算すると、$v_2\fallingdotseq 7.9\:\mathrm{km/s}$ となります。

第二宇宙速度の計算式

第二宇宙速度は、
$v_2=\sqrt{\dfrac{2GM}{R}}$
という計算式で得ることができます。

第二宇宙速度は、第一宇宙速度のちょうど $\sqrt{2}$ 倍というのがおもしろいです。

第二宇宙速度の計算式の導出:
投げる物体の質量を $m$ とします。初速 $v$ で投げ出された瞬間の運動エネルギーは
$\dfrac{1}{2}mv^2$
です。

また、同じ瞬間における、地球の重力による位置エネルギーは、
$-\dfrac{GMm}{R}$
です。

運動エネルギーと位置エネルギーの和が $0$ 以上のとき、地球の重力を振り切ることになるので、第二宇宙速度 $v_2$ は
$\dfrac{1}{2}mv_2^2=\dfrac{GMm}{R}$
を満たします。

これを $v_2$ について解くと、$v_2=\sqrt{\dfrac{2GM}{R}}$ が分かります。実際に、$G,M,R$ の値を入れて計算すると、$v_2\fallingdotseq 11.2\:\mathrm{km/s}$ となります。

なお、第一宇宙速度、第二宇宙速度の計算式は、地球以外の他の天体(月など)でも成立します。

次回は 運動量と力積の意味と関係を図で分かりやすく説明 を解説します。

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