運動量と力積の意味と関係を図で分かりやすく説明

最終更新日 2019/07/10

運動量とは「質量×速度」のことです。運動量は「その物体を止めるのがどれくらい大変か」を表す量と言えます。

運動量の意味

このページでは、運動における基本的な物理量である運動量の意味を解説します。また、運動量に関係した重要な量である力積についても解説します。

運動量とは

運動量は、質量×速度として定義されます。

つまり、質量 $m$ の物体が速度 $v$ で運動しているときの運動量は $mv$ です。

運動量は「その物体を止めるのがどれくらい大変か」を表す量と考えることができます。

運動量の意味

同じ速さでも、質量が大きい物体ほど止めるのが大変なので、運動量は大きいです。
同じ質量でも、速さが速いほど止めるのが大変なので運動量は大きいです。

例えば、$2\:\mathrm{kg}$ の物体が、速さ $3\:\mathrm{m/s}$ で運動しているときの運動量は、
$2\times 3=6\:\mathrm{kg\cdot m/s}$
となります。このように、運動量の単位は、$\mathrm{kg\cdot m/s}$ または $\mathrm{N\cdot s}$ が使われます。

力積とは

力積とは、大雑把には力×時間で定義される量です。

例えば、$10\:\mathrm{N}$ の力を $2$ 秒間加え続けたときの力積は、
$10\times 2=20\:\mathrm{N\cdot s}$
のように計算できます。

このように、力積の単位は、$\mathrm{N\cdot s}$ になります。

実は、もう少し厳密に言うと、力積は、横軸を時刻、縦軸を力の大きさをとするグラフにおける、横軸とグラフで囲まれた面積となります。

力積の意味
力の大きさが一定の場合の力積

力の大きさが一定の場合には、力積は長方形の面積と等しいので、
力積=力×時間
が成立します。

力積の定義を、積分を使ってきちんと書くと
力積=$\displaystyle\int Fdt$
となります。

$F$ は物体に加えた力です。時刻 $t$ で積分します。

運動量と力積の関係

実は、
運動量の変化量=物体に与えた力積の大きさ
という関係が成立します。
運動量と力積の関係

式で書くと、
$mv_{\mathrm{after}}-mv_{\mathrm{before}}=F\Delta t$
という関係が成立します。

力 $F$ が大きいほど、そして力を加えた時間 $t$ が長いほど、運動量が大きく変化します。つまり、力積とは「運動量をどれくらい変えることができるか」を表す量と言えます。

※この法則は、運動方程式を時刻 $t$ で積分することで導出できます。

運動量と力積はベクトル

ここまでの話は、運動が一次元の場合には完全に正しいです。しかし、3次元空間における運動を考えるときには、運動量も力積もベクトルになります。

運動量はベクトル:
速度 $\overrightarrow{v}$ はベクトルなので、運動量 $m\overrightarrow{v}$ もベクトルになります。

力積もベクトル:
力 $\overrightarrow{F}$ はベクトルなので、力積 $\displaystyle\int \overrightarrow{F}dt$ もベクトルになります。

運動量と力積の等式もベクトルの等式:
$m\overrightarrow{v}_{\mathrm{after}}-m\overrightarrow{v}_{\mathrm{before}}=\overrightarrow{F}t$

次回は 遠心力の意味と計算する3つの公式【証明つき】 を解説します。

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