対数変化率の意味、計算方法と注意点

最終更新日 2018/12/28

変化率と対数変化率について解説します。

「普通の」変化率について

対数変化率について学ぶ前に、普通の変化率について説明します。

ある量が $X$ から $Y$ に変化した時、
「増えた量をもともとの値で割った値」
のことを変化率、あるいは増減率と言います。

つまり、変化率は、$\dfrac{Y-X}{X}$
です。

例えば、$100$ 万円が $150$ 万円になったとき、変化率は
$\dfrac{150-100}{100}=0.5$
です。

変化率の問題点

普通の変化率は上昇と下落を対称に扱うことができないという問題点があります。

例えば、$100$ 万円から $150$ 万円への増収の変化率は、$0.5$ でしたが、その逆の $150$ 万円から $100$ 万円への下落の変化率は、$\dfrac{100-150}{150}=-0.333\cdots$
となります。

変化率 $0.5$ の逆の変化が変化率 $-0.333\cdots$ というのは少しスッキリしないですね。

対数増加率とは

ある量が $X$ から $Y$ に変化した時、
$\log\dfrac{Y}{X}$ のことを対数増加率と言います。

$\log$ は高校数学で習う対数で、対数の底は $e$ とします。
ネイピア数(自然対数の底)の意味と、重要である理由

例えば、$100$ 万円から $150$ 万円への増収の対数変化率は、
$\log\dfrac{150}{100}\fallingdotseq 0.41$
となります。逆に、$150$ 万円から $100$ 万円への減収の対数変化率は、
$\log\dfrac{100}{150}\fallingdotseq -0.41$
となります。

対数変化率は普通の変化率と異なり、上昇と下落を対称に扱うことができています。

なお、対数変化率の計算は、例えば、Google の検索窓で ln(100/150) などと打てばできます。(常用対数logと自然対数lnを間違えないように注意してください)

対数変化率の性質

$X=Y$ のとき、つまり変化していないときは、対数増加率は $0$ になります。実際、$\log 1=0$ です。

また、$X$ と $Y$ が近いときは、対数変化率と普通の変化率はほとんど同じ値になります。

対数変化率≒普通の変化率を証明してみます。

少し専門的ですが、対数関数のテイラー展開を使うと、
$\log x\fallingdotseq x-1$
となります。上式に $x=\dfrac{Y}{X}$ を代入すると、
$\log\dfrac{Y}{X}\fallingdotseq\dfrac{Y-X}{X}$
が分かります。左辺は対数変化率で、右辺は普通の変化率です。

なお、場合によっては対数変化率のことを、対数増加率、対数収益率、などと言うこともあります。

次回は 粗利、粗利率、純利の意味と計算の例 を解説します。

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