対角行列の様々な性質(行列式や固有値など)

最終更新日 2018/02/05

$\begin{pmatrix}2&0\\0&3\end{pmatrix}$、$\begin{pmatrix}-1&0&0\\0&3&0\\0&0&4\end{pmatrix}$
のように、非対角成分が $0$ であるような行列を対角行列と言う。

表記など

対角行列は英語で Diagonal Matrix なので、$D$ で表すことが多いです。

対角成分が $d_1,d_2,\dots,d_n$ である対角行列
$\begin{pmatrix}d_1&0&\cdots&0\\0&d_2&\cdots&0\\\vdots&\vdots&\ddots&\cdots\\0&0&\cdots&d_n\end{pmatrix}$
のことを、
$\mathrm{diag}(d_1,d_2,\dots,d_n)$
と書くことが多いです。

対角行列の積

対角行列同士の積は、対角行列になります。それぞれの対応する要素をかけ算したシンプルな形です。

例えば、
$\begin{pmatrix}a_1&0\\0&a_2\end{pmatrix}\begin{pmatrix}b_1&0\\0&b_2\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}a_1b_1&0\\0&a_2b_2\end{pmatrix}$
のようになります。

べき乗

対角行列のべき乗は、各成分をそれぞれべき乗したものになります。

例えば、
$D=\begin{pmatrix}d_1&0\\0&d_2\end{pmatrix}$
の $n$ 乗は、
$D^n=\begin{pmatrix}d_1^n&0\\0&d_2^n\end{pmatrix}$
です。

一般の行列の $n$ 乗は計算が大変ですが、対角行列の $n$ 乗の計算は簡単です。

行列式

対角行列の行列式は、全ての対角成分をかけたものになります。

例えば、
$D=\begin{pmatrix}d_1&0\\0&d_2\end{pmatrix}$
の行列式は $\det D=d_1d_2$ です。

固有値

対角行列の固有値は、対角成分そのものです。

例えば、
$D=\begin{pmatrix}d_1&0\\0&d_2\end{pmatrix}$
の固有値は $d_1$ と $d_2$ です。

固有ベクトルは、基本ベクトル(の定数倍)、つまり、$1$ つの成分以外が全て $0$ であるベクトルになります。

正則かどうか

行列式からも固有値からも、
対角行列 $D$ が正則
$\iff D$ の全ての対角成分が $0$ でない

が分かります。

逆行列

対角行列の逆行列は、対角成分を逆数にしたものになります。
例えば、$D=\begin{pmatrix}d_1&0\\0&d_2\end{pmatrix}$
の逆行列は、$D^{-1}=\begin{pmatrix}\frac{1}{d_1}&0\\0&\frac{1}{d_2}\end{pmatrix}$ です。

その他

・対角行列は対称行列です。
関連:対称行列の固有値、行列式、逆行列、積

単位行列は、対角行列の一種です。
関連:単位行列の定義といろいろな性質

次回は 零行列の行列式や固有値などについて を解説します。

ページ上部へ戻る