単位行列の定義といろいろな性質

$\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}$、$\begin{pmatrix}1&0&0\\0&1&0\\0&0&1\end{pmatrix}$
のように、対角成分が $1$、非対角成分が $0$ である行列を単位行列(Unit Matrix)と言う。

かけても変わらない

単位行列にどのような行列 $A$ をかけても $A$ のままです。また、どのようなベクトル $\overrightarrow{x}$ をかけても $\overrightarrow{x}$ のままです。

例:
$\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}$
$\begin{pmatrix}1&0&0\\0&1&0\\0&0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a\\b\\c\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}a\\b\\c\end{pmatrix}$

どのようなベクトルにかけても変わらないので、
・座標変換の言葉で言うと単位行列は恒等変換(全ての点を動かさない変換)に対応する
・線形写像の言葉で言うと単位行列は恒等写像に対応する
ということになります。

  • スポンサーリンク

逆行列

以下、単位行列のことを $I$ と書きます。

単位行列に関する重要な概念に逆行列があります。

正方行列 $A$ に対して、$AB=BA=I$ となるような行列 $B$ が存在するとき、 $B$ を $A$ の逆行列と言います。

・$A$ に逆行列が存在するならば、それはただひとつです。
・$AB=I$、$BA=I$ のうち片方が成立するならばもう片方も成立します(証明は専門書を参照)。よって、実際は両方確認する必要はありません。

行列式、ランク(階数)

~行列式~
単位行列の行列式は $1$ です。置換による行列式の定義から分かります。

~ランク~
$n\times n$ の単位行列のランクは $n$ です。行列式が $0$ でないからです。よって、単位行列は正則行列となります。

固有値、固有ベクトル

~固有値~
$n\times n$ の単位行列の固有値は $1$ のみです(重複度 $n$)。
理由:対角行列の固有値は対角成分である。そして、単位行列は対角成分が $1$ である対角行列だから。

~固有ベクトル~
全てのベクトルが単位行列 $I$ の(固有値 $1$ に対応する)固有ベクトルです。
理由:任意のベクトル $\overrightarrow{x}$ に対して、$I\overrightarrow{x}=\overrightarrow{x}$ となるから。

次:対称行列の固有値、行列式、逆行列、積
前:零行列の行列式や固有値などについて

スポンサーリンク

他のページ
ページ上部へ戻る