sin、cos、tanの三倍角の公式の2通りの証明

最終更新日 2018/05/02

$\sin 3x=-4\sin^3x+3\sin x$
$\cos 3x=4\cos^3x-3\cos x$

$\tan 3x=\dfrac{3\tan x-\tan^3x}{1-3\tan^2x}$

加法定理を用いた証明

加法定理と2倍角の公式を使って3倍角の公式を証明してみます。

参考:2倍角の公式の証明と頻出例題

サインの証明
$\sin 3x\\
=\sin(2x+x)$
$=\sin 2x\cos x+\cos 2x\sin x$
$=2\sin x\cos x\cdot\cos x\\
\:\:+(1-2\sin^2x)\sin x\\
=2\sin x(1-\sin^2x)\\
\:\:+\sin x-2\sin^3x\\
=-4\sin^3x+3\sin x$

コサインの証明
$\cos 3x\\
=\cos(2x+x)$
$=\cos 2x\cos x-\sin 2x\sin x$
$=(2\cos^2 x-1)\cos x\\
\:\:-2\sin^2x\cos x\\
=2\cos^3 x-\cos x\\
\:\:-2\cos x+2\cos^3x\\
=4\cos^3x-3\cos x$

タンジェントの証明
$\tan 3x\\
=\tan(2x+x)\\
=\dfrac{\tan 2x+\tan x}{1-\tan 2x\tan x}\\
=\dfrac{\frac{2\tan x}{1-\tan^2x}+\tan x}{1-\frac{2\tan x\cdot\tan x}{1-\tan^2x}}$
分母分子に $1-\tan^2x$ をかけると、
$\dfrac{3\tan x-\tan^3x}{1-3\tan^2x}$
となります。

ド・モアブルの定理を用いた証明

ド・モアブルの定理というものを使えばサインとコサインの三倍角の公式を一気に証明できます。

ド・モアブルの定理(複素数の定理)を使うと、
$(\cos x+i\sin x)^3\\
=\cos 3x+i\sin 3x$
となります。

この式の左辺を展開すると、
$\cos^3x+3i\cos^2x\sin x\\
-3\cos x\sin^2x-i\sin^3x$
となります。

この式の実部は、
$\cos^3x-3\cos x\sin^2x\\
=\cos^3x-3\cos x(1-\cos^2x)\\
=4\cos^3x-3\cos x$
となるので、
$\cos 3x=4\cos^3x-3\cos x$
が分かります。

一方、先ほどの式の虚部は、
$i(3\cos^2x\sin x-\sin^3x)\\
=i\{3(1-\sin^2x)\sin x-\sin^3x\}\\
=i(3\sin x-4\sin^3x)$
となるので、
$\sin 3x=-4\sin^3x+3\sin x$
が分かります。

サイン、コサインからタンジェントを証明

サイン、コサインの三倍角の公式から、タンジェントの三倍角の公式を証明することもできます。

$\tan 3x\\
=\dfrac{\sin 3x}{\cos 3x}\\
=\dfrac{-4\sin^3x+3\sin x}{4\cos^3x-3\cos x}$

この式の分母分子を $\cos^3 x$ で割ると、
$\dfrac{-4\tan^3x+3\tan x(\frac{1}{\cos^2x})}{4-\frac{3}{\cos^2x}}$

さらに、$\dfrac{1}{\cos^2x}=1+\tan^2x$ を使うと、上式は、
$\dfrac{-4\tan^3x+3\tan x+3\tan^3x}{4-3-3\tan^2x}\\
=\dfrac{3\tan x-\tan^3x}{1-3\tan^2x}$

次回は 三角関数の周期の求め方と例題6問 を解説します。

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