投資における「リスク」について詳しく解説します。
リスクとは
「リスク」という言葉は、一般的には、危険や危険に合う可能性というマイナスの意味で使われることが多いです。
一方、投資の文脈では「リスク」はリターンのばらつき具合という意味で使われます。必ずしもマイナスの意味で使われる訳ではありません。
具体例(イメージ)
例えば、
1.必ず $10$%もうかる株
2.確率 $50$%で$30$%もうかり、確率 $50$%で$10$%損する株
を比較すると、どちらも期待リターンは $+10$%ですが、2の方がリスクが高い(リターンのばらつき具合が大きい)と言えます。
1と2、どちらが魅力的なのかは、人によって異なります。多くの人は1を好むと思いますが、ギャンブル好きな人は2を好むかもしれません。
計算方法
リスク=リターンのばらつき具合は、具体的には(リターンが従う確率分布の)標準偏差で計算されます。
2.確率$50$%で$30$%もうかり、$50$%で$10$%損する株
のリスクを計算してみましょう。
標準偏差の定義式より、リスクは、
$\sqrt{E[(X-\mu)^2]}\\
=\sqrt{0.5(0.3-0.1)^2+0.5(0.1-(-0.1))^2}\\
=\sqrt{0.5\times 0.04+0.5\times 0.04}\\
=\sqrt{0.02+0.02}\\
=0.2$
つまり、リスクは $20$%になります。
リスクの数字の意味
$\mu$ を期待リターン、$\sigma$ をリスクとします。資産のリターンが正規分布に従うと仮定すると、およそ $70$%の確率で、リターンは $\mu\pm\sigma$ の間におさまります。
つまり、期待リターンが $5$%でリスクが $10$%の場合、
・平均利回りは $5$%くらい
・損することも得することもあるけど、$70$%くらいの確率で利回りは $-5$%から $+15$%の間におさまる
と言えます、
注意点
・実際の資産のリターンは正規分布に従うとは限りません。そのため、$70$%くらいの確率で $\mu\pm\sigma$ の範囲におさまるというのは、あくまで参考値です。
・実際の資産のリターンの確率分布を予め推定することは基本的にはできません。確率分布が分からなければ、リスクを正確に計算することはできません。この場合、過去のリターンをもとに標準偏差を推定することになります。
まめ知識
正規分布の場合
・リスクの2倍を見れば $95$%確保できます。つまり、確率 $95$%程度の確率で $\mu\pm 2\sigma$ の範囲内におさまります。
・同様に、リスクの3倍を見れば $99.7$%確保できます。
1σ、2σ、3σの意味と正規分布の場合の確率
次回は 累進課税での所得税額と税率の目安 を解説します。