オイラーの公式e^πi=-1の意味と証明

最終更新日 2018/12/28

$e^{\pi i}=-1$ という等式が成立します。
この式をオイラーの公式と言います。

オイラーの公式の意味証明を、高校生でも雰囲気が理解できるように解説します。

オイラーの公式の意味

オイラーの公式 $e^{\pi i}=-1$ は、$\pi,i,e$ という重要な3つの数の間に成り立つ美しい関係式です。

・$\pi$ は円周率です。およそ $3.14$ です。算数以来おなじみの重要な定数です。

・$e$ はネイピア数です。およそ $2.718$ です。高校数学で習う重要な定数です。
ネイピア数(自然対数の底)の意味と、重要である理由

・$i$ は虚数単位です。$i^2=-1$ です。高校数学で習う、基本的な複素数です。

そもそも $e$ の複素数乗とは?

オイラーの公式 $e^{\pi i}=-1$ をきちんと理解するためには、指数の肩に複素数が乗っているものの意味を理解する必要があります。

$e^x$ は、$x$ が実数のときには高校数学でおなじみの指数関数です。では、$x$ が複素数の場合についてはどのように定義されるのでしょうか? $e^{\pi i}$ とは何者なのでしょうか?

実は、全ての実数に対して
$e^x=1+x+\dfrac{x^2}{2!}+\dfrac{x^3}{3!}+\cdots$
が成立することが知られています。
(この式の雰囲気はテイラー展開の難しい式の意味を分かりやすく説明に記載しています)

そこで、$x$ が複素数の場合についても、
$1+x+\dfrac{x^2}{2!}+\dfrac{x^3}{3!}+\cdots$
という極限の収束先となる複素数を $e^x$ と定義します。
(実際、全ての複素数 $x$ に対して、上式は収束することが知られています)

すなわち、オイラーの公式は、$e^{\pi i}$、つまり、
$1+(\pi i)+\dfrac{(\pi i)^2}{2!}+\dfrac{(\pi i)^3}{3!}+\cdots$

という得体の知れない複素数が、実は $-1$ と一致する
という驚くべき公式なのです。

オイラーの公式の証明

オイラーの公式を証明してみます。いきなりですが、三角関数 $\cos x$ と $\sin x$ が登場します。

$\cos x$ および $\sin x$ のテイラー展開から、全ての実数 $x$ に対して以下の2つの公式が成立することが分かります:

$\sin x=x-\dfrac{x^3}{3!}+\dfrac{x^5}{5!}-\cdots$
$\cos x=1-\dfrac{x^2}{2!}+\dfrac{x^4}{4!}-\cdots$

よって、上側の式を $i$ 倍して下側の式に加えると、
$\cos x+i\sin x\\
=1+ix+\dfrac{(ix)^2}{2!}+\dfrac{(ix)^3}{3!}+\dots$
となります。

この式の右辺は、$e^{ix}$ に他なりません。

つまり、
$e^{ix}=\cos x+i\sin x$
が成立します。この式のことをオイラーの公式と呼ぶこともあります。

この式は、全ての実数 $x$ について成立するので、$x=\pi$ を代入すると、
$e^{\pi i}=\cos \pi +i\sin \pi=-1$
となります。

証明の途中で三角関数が登場したのも面白いですね。

次回は 極限の基本的な公式、考え方一覧 を解説します。

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