公式1.$e^{\log x}=x$
公式2.$e^{-\log x}=\dfrac{1}{x}$
公式1の証明
$e^{\log 2}=2$、$e^{\log 3}=3$ などが成立するという一見不思議な公式です。証明してみましょう。
まず、
$\log x=\log x$
の左辺に、$\log e=1$ をかけます:
$(\log x)\log e=\log x$
ここで、対数の公式 $a\log M=\log M^a$ を左辺に使うと
$\log e^{\log x}=\log x$
となります。
最後に $\log$ の中身を比べると、
$e^{\log x}=x$
となります。
公式2の証明
$e^{-\log 2}=\dfrac{1}{2}$、$e^{-\log 3}=\dfrac{1}{3}$ などが成立するという公式です。証明してみましょう。
公式1より、一般に正の実数 $X$ に対して
$e^{\log X}=X$
が成立します。
そこで、
$e^{-\log x}\\
=e^{\log\frac{1}{x}}$
と変形してから、
上の式を $X=\dfrac{1}{x}$ として使ってやると、
$e^{\log\frac{1}{x}}=\dfrac{1}{x}$
が分かります。
補足、まめ知識
・逆関数の性質を用いて以下のように公式1を証明することもできます。
まず、$e^x$ は $\log x$ の逆関数です。
そして「もとの関数を作用させてその逆関数を作用させるともとに戻る」という性質から、$e^{\log x}=x$ が分かります。
・より一般に、$a^{\log_b c}=c^{\log_b a}$ という公式が成立することが知られています。
この公式で $b=e$(ネイピア数)とすると $a^{\log c}=c^{\log a}$ となります。
さらに、$a=e$ とすることで $e^{\log c}=c$ となり、公式1を導出することができます。
・$a^{\log_b c}=c^{\log_b a}$ という式で $b=a$ とすると、
$a^{\log_a c}=c$
となります。
つまり、$2^{\log_2 x}=x$ なども成立することが分かります。
次回は ネイピア数(自然対数の底)の意味と、重要である理由 を解説します。