デシベルの意味と計算式の4つのポイント

最終更新日 2019/03/31

デシベルは、「音のうるささ」「騒音の度合い」を表すために用いられることが多い単位です。$20\log_{10}\dfrac{P}{P_0}$ というデシベルの計算式の意味を詳しく解説します。

デシベル(dB)の意味

音の大きさ、騒音の度合いは「デシベル」という単位を使って表現することができます。

音圧(音による圧力)が $P$ であるような音の「デシベル値」は
$デシベル=20\log_{10}\dfrac{P}{P_0}$
という式で計算されます。ただし、$P_0$ は基準となる音圧で、人間が聞き取れる最小音の $2.0\times 10^{-5}$ パスカルです。

例えば、音圧が基準値の100倍であるような音のデシベル値は、$P=100P_0$ として計算すると、
$デシベル=20\log_{10}100=20\times 2=40$
となり $40$ デシベルであることが分かります。

デシベルと音の大きさの目安

20デシベル上がるごとに、音圧が10倍になります。
6デシベル上がるごとに、音圧がおよそ2倍になります。
デシベル 音圧 イメージ
0デシベル 基準値と同じ 人間が聞き取れる限界ギリギリ
20デシベル 基準値の10倍 ささやき
40デシベル 基準値の100倍 静かな住宅地の昼
60デシベル 基準値の1000倍 うるさい(普通の会話)
80デシベル 基準値の1万倍 きわめてうるさい(地下鉄の社内)
100デシベル 基準値の10万倍 電車が通るときのガード下
120デシベル 基準値の100万倍 飛行機のエンジンの近く

デシベルの計算式の理由

デシベル(dB)が、なぜ
$20\log_{10}\dfrac{P}{P_0}$
という式で定義されるのか、4つのポイントに分けて理由を解説します。

「音のうるささ」という感覚値をどのように定めればよいのか、1から考えてみましょう。

常用対数を使う

人間は、音の強さ(エネルギー)が「2倍、4倍、8倍」のように倍増していくときに「等間隔でうるさくなった」ように感じます。
そこで、エネルギー(単位時間に単位面積を通過するエネルギー)が $E$ である音の「うるささ」を
$\log_{10} E$
と定めればよいのでは? と考えることができます。そうすればエネルギーが倍になるごとに、音のうるささ」は一定値ずつ増えていき、感覚に合致します。

基準値からの比で表す

さらに、人間が聞き取れる限界ギリギリの音を基準として、この基準の音の「うるささ」が0になるようにすれば、分かりやすいでしょう。
そこで、基準音のエネルギーを $E_0$ として「エネルギーが $E$ の音のうるささ」を
$\log_{10}\dfrac{E}{E_0}$
と定めればよいのでは? と考えることができます。そうすれば、基準音の「うるささ」は0になります。

音圧で表す

「音のエネルギー」よりも「音圧」の方が分かりやすい、使いやすい場合があります。また、音のエネルギーは、音圧の二乗に比例します。そこで、2の結果を音圧の言葉で表現して「音圧 $P$ の音のうるささ」を
$\log_{10}\dfrac{P^2}{P_0^2}$
と定めればよいのでは? と考えることができます。

常用対数の性質を使うと、上式は
$2\log_{10}\dfrac{P}{P_0}$
と変形することができます。

10倍する

上記の式を使うと、数字が細かくなりすぎて使いにくくなることがあります。そこで、上記の式を10倍したものを「音のうるささ」とします:
$20\log_{10}\dfrac{P}{P_0}$
これがデシベルの定義です。

ベル(B)とデシベル(dB)

デシベル(dB)は
「デシ(1/10)」

「ベル(基準値との比の常用対数)」
に分けて考えることができます。

デシベルの定義は
$デシベル(\mathrm{dB})=20\log_{10}\dfrac{P}{P_0}$
でしたが、数字を $10$ 倍する前の量を「ベル」と言います:
$ベル(\mathrm{B})=2\log_{10}\dfrac{P}{P_0}$

「デシ」は $\dfrac{1}{10}$ を表します。例えば、$1$ リットルは $10$ デシリットルです。
参考:1リットル、1デシリットル、1ミリリットル、1ccの意味と例

補足

デシベルは「音のうるささ」だけでなく「電気信号の大きさ」を表現する場合に使われることもあります。その場合も、同じく基準値との比の常用対数を使って定義されます。

デシベルは、厳密には「対象の強さ」ではなく「対象が基準となる量と比べてどれくらい強いか」を表す相対的な量です。基準値が明確である場合には「対象の強さ」と同一視することができます。

次回は カンデラ、ルーメン、ルクスの意味と変換 を解説します。

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