$\displaystyle\int\dfrac{1}{x^2+a^2}dx$ という形の定積分、不定積分は、$x=a\tan\theta$ と置換することで計算できる。
定積分の問題
定積分は高校数学の範囲内です。
例題1:定積分 $\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{4}}\dfrac{1}{x^2+1}dx$ を計算せよ。
$x=\tan\theta\:(-\frac{\pi}{2}<0<\frac{\pi}{2})$ と置換すると、$\dfrac{dx}{d\theta}=\dfrac{1}{\cos^2\theta}$ なので、
$\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{4}}\dfrac{1}{x^2+1}dx\\
=\displaystyle\int_0^1\dfrac{1}{\tan^2\theta+1}\cdot\dfrac{1}{\cos^2\theta}d\theta\\
=\displaystyle\int_0^1\dfrac{1}{\frac{1}{\cos^2\theta}}\cdot\dfrac{1}{\cos^2\theta}d\theta\\
=\displaystyle\int_0^1 1d\theta$
$=1$
不定積分の問題
不定積分にはタンジェントの逆関数が登場するので厳密には高校数学範囲外です。
関連:arctanの意味、微分、不定積分
例題2:不定積分 $\displaystyle\int\dfrac{1}{x^2+4}dx$ を計算せよ。
$x=2\tan\theta\:(-\frac{\pi}{2}<0<\frac{\pi}{2})$ と置換すると、$\dfrac{dx}{d\theta}=\dfrac{2}{\cos^2\theta}$ なので、
$\displaystyle\int\dfrac{1}{x^2+4}dx\\
=\displaystyle\int\dfrac{1}{4\tan^2\theta +4}\cdot\dfrac{2}{\cos^2\theta}d\theta\\
=\displaystyle\int\dfrac{1}{\frac{4}{\cos^2\theta}}\cdot\dfrac{2}{\cos^2\theta}d\theta\\
=\displaystyle\int\dfrac{1}{2}d\theta\\
=\dfrac{1}{2}\theta +C$
ここで、$x=2\tan\theta$ を使って上の式を $x$ で表すと、
$\dfrac{1}{2}\mathrm{arctan}\:\dfrac{x}{2}+C$
となる。
一般的な公式
例題2と同様にして、より一般的な公式:
$\displaystyle\int\dfrac{1}{x^2+a^2}dx\\
=\dfrac{1}{a}\mathrm{arctan}\dfrac{x}{a}+C$
を得ることができます。
(上の式は $0$ でない任意の実数 $a$ に対して成立する)
この公式は覚えなくても大丈夫です。$\displaystyle\int\dfrac{1}{x^2+a^2}dx$ という形の積分は $x=a\tan\theta$ と置換することで計算できる、と覚えておけばすぐに導出できます。
次回は √x^2+1の積分を3ステップで分かりやすく解説 を解説します。