変化率と対数変化率について解説します。
「普通の」変化率について
ある量が $X$ から $Y$ に変化した時、
「増えた量をもともとの値で割った値」
のことを変化率、あるいは増減率と言います。
つまり、変化率は、$\dfrac{Y-X}{X}$
です。
例えば、$100$ 万円が $150$ 万円になったとき、変化率は
$\dfrac{150-100}{100}=0.5$
です。
変化率の問題点
例えば、$100$ 万円から $150$ 万円への増収の変化率は、$0.5$ でしたが、その逆の $150$ 万円から $100$ 万円への下落の変化率は、$\dfrac{100-150}{150}=-0.333\cdots$
となります。
変化率 $0.5$ の逆の変化が変化率 $-0.333\cdots$ というのは少しスッキリしないですね。
対数増加率とは
$\log\dfrac{Y}{X}$ のことを対数増加率と言います。
$\log$ は高校数学で習う対数で、対数の底は $e$ とします。
ネイピア数(自然対数の底)の意味と、重要である理由
例えば、$100$ 万円から $150$ 万円への増収の対数変化率は、
$\log\dfrac{150}{100}\fallingdotseq 0.41$
となります。逆に、$150$ 万円から $100$ 万円への減収の対数変化率は、
$\log\dfrac{100}{150}\fallingdotseq -0.41$
となります。
対数変化率は普通の変化率と異なり、上昇と下落を対称に扱うことができています。
なお、対数変化率の計算は、例えば、Google の検索窓で ln(100/150) などと打てばできます。(常用対数logと自然対数lnを間違えないように注意してください)
対数変化率の性質
$X=Y$ のとき、つまり変化していないときは、対数増加率は $0$ になります。実際、$\log 1=0$ です。
また、$X$ と $Y$ が近いときは、対数変化率と普通の変化率はほとんど同じ値になります。
少し専門的ですが、対数関数のテイラー展開を使うと、
$\log x\fallingdotseq x-1$
となります。上式に $x=\dfrac{Y}{X}$ を代入すると、
$\log\dfrac{Y}{X}\fallingdotseq\dfrac{Y-X}{X}$
が分かります。左辺は対数変化率で、右辺は普通の変化率です。
なお、場合によっては対数変化率のことを、対数増加率、対数収益率、などと言うこともあります。
次回は 粗利、粗利率、純利の意味と計算の例 を解説します。