全単射と逆写像についての以下の2つの性質について整理します。
性質1:
写像 f について、f が全単射であることと、f に逆写像が存在することは同値である。
性質2:
写像 f に逆写像 g が存在すれば、g は全単射である。
全単射、逆写像とは
全単射の意味
・f が全射である
つまり、任意の y∈Y に対して、f(x)=y となる x∈X が存在する。
・f が単射である
つまり、任意の y∈Y に対して、f(x)=y となる x が高々1つしか存在しない。
参考:単射、全射、全単射の意味と覚え方など
逆写像の意味
写像 f:X→Y に対して「対応関係を逆にした写像」のことを逆写像と言います。つまり、Y から X への写像 g で、
f(x)=y⟺g(y)=x
を満たすようなものが存在するとき、g を f の逆写像と言います。
全単射と逆写像存在の同値性証明
f が全単射 ⟺ f に逆写像が存在
を証明します。
直感的には当たり前のように感じるかもしれませんが、単射、全射、逆写像の定義を使ってきちんと証明します。
全単射なら逆写像が存在することの証明
f は全射なので、任意の y∈Y に対して、f(x)=y となる x が存在します。さらに、f は単射なので、そのような x はただ1つです。
任意の y∈Y に対して、それぞれ上記のように持ってきた x を使って、g(y)=x と定めます。
すると、g は Y から X への写像で、
f(x)=y⟺g(y)=x
となります。
逆写像が存在するなら全単射の証明
対偶を証明します。f が全単射でないとします。
・f が全射でない場合。
「f(x)=y となる x が存在しない」ような y が存在します。もし、逆写像 g が存在すると仮定し、g(y)=x′ とします。すると、逆写像の定義より f(x′)=y となります。これは、上記に矛盾です。つまり、背理法により逆写像は存在しません。
・f が単射でない場合。
f(x1)=f(x2)=y となるような相異なる x1,x2∈X が存在します。よって、逆写像 g が存在すると仮定すると、g(y)=x1 と g(y)=x2 を同時に満たすことができないので矛盾です。つまり、背理法により逆写像は存在しません。
逆写像が全単射であることの証明
次は、性質2を証明します。
性質2:
写像 f:X→Y に逆写像 g:Y→X が存在すれば、g は全単射である。
g が全射であることの証明
任意の x∈X に対して、y=f(x) とすると、g(y)=x です。つまり、g(y)=x となる y が存在するので、g は全射です。
g が単射であることの証明
背理法で証明します。もし、g(y1)=g(y2)=x となるような相異なる y1,y2∈Y が存在するとします。すると、逆写像の定義より f(x)=y1 かつ f(x)=y2 となりますが、これは同時に満たせないので矛盾です。
まとめ
全単射(一対一の対応)には逆写像が存在する。そして、逆写像も全単射になる。
次回は ユークリッド空間の意味を分かりやすく説明する を解説します。