停止距離(=空走距離+制動距離)の覚え方と計算方法

最終更新日 2019/03/31

空走距離とは、ブレーキが効き始める前までに車が進む距離
制動距離とは、ブレーキが効き始めてから車が止まるまでに進む距離
停止距離とは、空走距離と制動距離を合わせた合計移動距離

空走距離、制動距離、停止距離の意味

空走距離制動距離停止距離という3つの距離の意味と覚え方、数値の導出について整理しました。

空走距離、制動距離、停止距離の意味

「危ない!」と思っても、車は急には止まれません。

1. 空走距離
人の目に情報が入ってから、反応してブレーキを踏むまでには時間がかかります。この間に車が進む距離を空走距離と言います。運転手が疲れていると反応が遅れるため、空走距離が長くなります。

2. 制動距離
ブレーキを踏んでからも、車が完全に停止するまでには時間がかかります。この間に車が進む距離を制動距離と言います。雨などで路面が滑りやすい状態だと、ブレーキが効きにくく制動距離が長くなります。

3. 停止距離
人の目に情報が入ってから車が完全に停止するまでに移動する距離が停止距離です。

停止距離(合計)
空走距離(ブレーキを踏むまでの距離)
制動距離(ブレーキを踏んでからの距離)
です。

停止距離の覚え方

時速 $10x\:\mathrm{km}$ の停止距離は、おおよそ$\{x(x+1)+2\}\:\mathrm{m}$ と覚えましょう。

例えば、いろいろな時速の停止距離は以下のようになります:
時速 $20\:\mathrm{km}$ → $2\times 3+2=8\:\mathrm{m}$
時速 $30\:\mathrm{km}$ → $3\times 4+2=14\:\mathrm{m}$
時速 $40\:\mathrm{km}$ → $4\times 5+2=22\:\mathrm{m}$
時速 $50\:\mathrm{km}$ → $5\times 6+2=32\:\mathrm{m}$
時速 $60\:\mathrm{km}$ → $6\times 7+2=44\:\mathrm{m}$
時速 $70\:\mathrm{km}$ → $7\times 8+2=58\:\mathrm{m}$

※おおよその値です。条件(路面の滑り具合や、運転手の疲れなど)によって変わります。

停止距離は、最低限空けるべき安全な車間距離の目安と考えることができます。

空走距離の計算

空走距離は、
反応時間 $\times$ ブレーキをかける前の速さ
で計算できます。

つまり、空想距離は速さに比例します。

「反応時間」は情報が目に入ってからブレーキをふむまでにかかる時間です。一般的に「0.75秒」または「1秒」程度と言われています。ここでは1秒として計算します。

ブレーキをかける前の速さを、時速 $v\:\mathrm{km}$(つまり秒速 $\dfrac{1000}{3600}v$ メートル)とすると、空走距離は
$1\times\dfrac{1000}{3600}v\\
\fallingdotseq 0.28v$
メートルとなります。

時速が $10\:\mathrm{km}$ 増えるごとに、空走距離は約 $2.8$ メートル増えます。

制動距離の計算

制動距離は、
$\dfrac{v^2}{2\mu g}$
で計算できます。

ただし、$v$ は初速度、$\mu$ は動摩擦係数、$g$ は重力加速度です。
つまり、制動距離は速さの二乗に比例します。
つまり、速さを2倍、3倍に増やしていくと、制動距離は4倍、9倍に増えていきます。

この式の証明は、エネルギー保存則を使います:
$\dfrac{1}{2}mv^2=\mu mgx$
(初期運動エネルギー=摩擦がした仕事)

ちなみに、動摩擦係数 $\mu$ は、タイヤや路面の状態によって変わります。例えば、雨の日は滑りやすい($\mu$ が小さい)ため、制動距離は長くなってしまいます。

次回は 1ニュートンは何キログラム重なのか解説 を解説します。

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