絶対誤差:測定値ー理論値
相対誤差:(測定値ー理論値)÷理論値
計算の具体例
例題1
理論値(文献値)が $10\mathrm{kg}$ である物体の重さを測定したら、$11\mathrm{kg}$ であった。この測定の絶対誤差、相対誤差はそれぞれいくらか?
絶対誤差
測定値と理論値との差なので、絶対誤差は $11-10=1\:\mathrm{kg}$ です。絶対誤差には単位をつけ忘れないようにしましょう。
相対誤差
相対誤差=(測定値ー理論値)÷理論値なので、
$\dfrac{11-10}{10}=0.1$
です。相対誤差は割合(比率)を表すものなので、単位をつけてはいけません!($0.1$ のことを $10$%と書くのはOKです)
相対誤差は「絶対誤差を理論値で割ったもの」と言うこともできます。
例題2
理論値(文献値)が $1000\mathrm{kg}$ である物体の重さを測定したら、$1001\mathrm{kg}$ であった。この測定の絶対誤差、相対誤差はそれぞれいくらか?
例題1と同様に、
絶対誤差は $1001-1000=1\:\mathrm{kg}$
相対誤差は $\dfrac{1001-1000}{1000}=0.001$($0.1$%)
相対誤差の意義
誤差は理論値と測定値のズレを表すものです。相対誤差の意義を理解するために、絶対誤差のデメリットについて考えてみましょう。
・$10$ kg のものを $11$ kg と測定してしまった(例題1)
・$1000$ kg のものを $1001$ kg と測定してしまった(例題2)
という2つの状況について、絶対誤差はどちらも $1$ kgで同じです。
ですが、例題1の方が大きいズレのように感じませんか?
$1000$ kgもの重い物を測るのに $1$ kgくらいのズレは(例題1のズレに比べたら)仕方ないと感じますよね。
このように、絶対誤差だとスケール(数字の大きさ、桁数)が異なる状況を同じ条件で評価することができません。そこで、ズレを差ではなく比率で評価してやろうというのが相対誤差です。
相対誤差で考えると、例題1は $10$%の大きなズレ、例題2は $0.1$%の小さなズレとなります。比率で考えることで、スケールの違うものの誤差を同じ条件で評価することができるのです。
補足、まめ知識
プラスマイナス
誤差には基本的には符号をつけましょう。例えば、理論値が $10\:\mathrm{kg}$、測定値が $9\:\mathrm{kg}$ のとき、相対誤差は $\dfrac{9-10}{10}=-0.1$ です。
ただし、プラスマイナスはどうでもよくて誤差の大きさのみが重要な場合は絶対値をつけた値を誤差と呼ぶ場合もあります。上の例だと $-0.1$ ではなく $0.1$ を相対誤差とすることもあります。
使い分け
「相対誤差の意義」で述べたように、スケールの違う複数のもののズレを評価する場合には絶対誤差ではなく相対誤差を使いましょう。
ただし、日常生活でズレを表すときには単位つきで表現した方が分かりやすいこともあるでしょう。そのような場合には絶対誤差を使いましょう。例えば「想定より $10$ %重い」と言うより「想定より $1$ kg 重いの方が日常会話ではやや伝わりやすい気がします。
次回は 廃棄率や可食部の重さ、発注量の計算方法 を解説します。