内接円の半径を求める公式

最終更新日 2018/10/28

三角形の各辺に接する円(内接円)の半径を計算する方法を説明します。

直角三角形の場合

図のような、各辺の長さが $3$、$4$、$5$ である直角三角形の内接円の半径を求めよ。

内接円の半径を求める例題

三角形の面積は、$3\times 4\div 2=6$ です。

3つの三角形に分割する

一方、
赤い三角形の面積は、
$3\times r\div 2=\dfrac{3}{2}r$
青い三角形の面積は、
$5\times r\div 2=\dfrac{5}{2}r$
緑の三角形の面積は、
$4\times r\div 2=2r$
です。

の面積を足すと三角形全体の面積になるので、
$\dfrac{3}{2}r+\dfrac{5}{2}r+2r=6$

整理すると、
$\left(\dfrac{3}{2}+\dfrac{5}{2}+2\right)r=6$
$6r=6$
よって、内接円の半径は $r=1$

内接円の半径を求める公式

上の例題と同じ方法で、三角形の面積 $S$ と三辺の長さ $a$、$b$、$c$ が分かれば内接円の半径も計算できることを説明します。

全体の三角形の面積を $S$ とおきます。また、三辺の長さを $a$、$b$、$c$ とします。

内接円の半径を求める公式

このとき、
赤い三角形の面積は、
$a\times r\div 2=\dfrac{a}{2}r$
青い三角形の面積は、
$b\times r\div 2=\dfrac{b}{2}r$
緑の三角形の面積は、
$c\times r\div 2=\dfrac{c}{2}r$
です。

の面積を足すと三角形全体の面積になるので、
$\dfrac{a}{2}r+\dfrac{b}{2}r+\dfrac{c}{2}r=S$

整理すると、
$(a+b+c)\times \dfrac{r}{2}=S$
$r=\dfrac{2S}{a+b+c}$
となります。

つまり、どんな三角形でも
三角形の面積 $S$ と三辺の長さ $a$、$b$、$c$ が分かれば内接円の半径も計算できる
と言えます。

公式を使ってみる

図のような二等辺三角形について、内接円の半径を求めよ。

二等辺三角形の例題

$r=\dfrac{2S}{a+b+c}$
を使うためには、面積 $S$ を計算する必要があります。

例題2の解答

この二等辺三角形の高さを $h$ とおくと、三平方の定理より、
$h^2+5^2=13^2$
$h^2=169-25=144$
$h=12$

よって、
$S=10\times 12\div 2=60$

したがって、内接円の半径は、公式を使うと
$r=\dfrac{2\times 60}{13+10+13}\\
=\dfrac{10}{3}$
となります。

二等辺三角形でない場合もこの公式は使えますが、三角形の面積 $S$ を計算するのにヘロンの公式などを使う必要があるため、少し大変です。

次回は 三角形の重心の定義といろいろな求め方 を解説します。

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