剰余類の意味(高校数学および群論)と2つの姿

剰余類という数学用語について詳しく解説します。
高校数学における剰余と剰余類について解説したあと、その一般化である群論における剰余類について解説します。

剰余と剰余類(高校数学)

剰余とは、割り算を行ったときの余りのことです。
剰余類とは、割り算の余りに着目したグループ分けです。

例えば、$3$ で割った余りがいくつか?に着目すると、整数は、
$\{0,3,6,9\dots\}$
$\{1,4,7,10,\dots\}$
$\{2,5,8,11,\dots\}$
のように3つのグループに分割することができます。このグループのことを剰余類と言います。

剰余類の考え方は、高校数学の整数問題に使える場合があります。例えば、全ての 整数 $n$ について○○を証明せよ、という問題に対して、
・$n=3k$ の場合
・$n=3k+1$ の場合
・$n=3k+2$ の場合
のように3つに場合分けをして証明することがしばしばあります。これは剰余類の考え方を使っています。

「合同式」などで検索すると、より様々な情報が出てきます。

群論における剰余類

高校数学における剰余類をふまえた上で、大学数学で習う群論における剰余類について解説します。

群 $G$ と、$G$ の部分群 $H$ が与えられたとします。このとき、$a,b\in G$ に対して
$a^{-1}b\in H\iff a\sim b$
によって $\sim$ を定めると、$\sim$ は同値関係になります(証明は後述)。

よって、この同値関係によって同値類(グループ分け)を考えることができます。この同値類のことを剰余類と言います。

剰余類の具体例を考えてみましょう。

・$G$ は整数全体 $\{0,\pm 1,\pm 2,\dots\}$ で足し算を考えた群
・$H$ は3の倍数全体 $\{0,\pm 3,\pm 6,\dots\}$
としましょう。

このとき、上記の $\sim$ は、
$b-a$ が3の倍数 $\iff$ $a\sim b$
によって定まります。つまり剰余類は「$a$ と $b$ を3で割った余りが同じ場合は同じグループとみなす」ようなグループ分けになります。

つまり、$a^{-1}b\in H\iff a\sim b$ という同値関係によるグループ分けが剰余類の一般的な定義で、「割り算で割った余りによるグループ分け」はその特殊ケースです。

$\sim$ が同値関係であることの証明

$a\sim a$ であること:
$H$ は部分群なので、単位元 $e$ は $H$ に属します。よって、$a^{-1}a\in H$ です。

$a\sim b$ なら $b\sim a$ であること:
$H$ は群なので、$a^{-1}b\in H$ なら、その逆元 $b^{-1}a$ も $H$ に属します。

$a\sim b$ かつ $b\sim c$ なら $a\sim c$ であること:
$H$ は群であり、積に関して閉じているので
$a^{-1}b\in H$ かつ $b^{-1}c\in H$ なら、$a^{-1}c\in H$ です。

以上により、反射律、対称律、推移律が確認でき、同値関係であることが証明されました。
反射律、対称律、推移律の意味と例

剰余類の別の姿

剰余類の各グループは、$aH=\{ah\mid h\in H\}$ という形で表せます。

実際、元 $a$ が属するグループに $b$ が属する
$\iff a^{-1}b\in H$
$\iff b\in aH$
となるので、各グループは(そのグループに属する元をどれでもよいので $a$ として)$aH$ という形で表せます。

そのため、$aH=\{ah\mid h\in H\}$ のことを剰余類と言うことがあります。

右剰余類と左剰余類

さきほどは、
$a^{-1}b\in H\iff a\sim b$
による同値類を剰余類だと述べましたが、正確には、 剰余類には2種類あります。

$a^{-1}b\in H\iff a\sim b$
によるグループ分けのことを左剰余類と言い、

$ab^{-1}\in H\iff a\sim b$
によるグループ分けのことを右剰余類と言います。

$G$ が可換の場合は、右剰余類と左剰余類は一致するので、違いを気にする必要はありません。

次回は 半順序集合と全順序集合の意味と例 を解説します。

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