逆ガンマ分布

最終更新日 2019/04/07

逆ガンマ分布の意味、ガンマ分布との関係、性質について整理しました。

逆ガンマ分布とは

逆ガンマ分布とは、確率密度関数が
$f_{\alpha,\beta}(x)=\dfrac{\beta^{\alpha}}{\Gamma(\alpha)}x^{-\alpha-1}e^{-\frac{\beta}{x}}\:(x> 0)$
で表される連続型確率分布のことです。

ただし、$\alpha>0$ と $\beta>0$ は分布のパラメータです。

また、$\Gamma(\alpha)$ はガンマ関数です。ガンマ関数は階乗の一般化で、$\alpha$ が正の整数であるとき $\Gamma(\alpha)=(\alpha-1)!$ になります。

ガンマ分布との関係

ガンマ分布は、確率密度関数が
$f_{\alpha,\beta}(x)=\dfrac{\beta^{\alpha}}{\Gamma(\alpha)}x^{\alpha-1}e^{-\beta x}\:(x> 0)$
で表される連続型確率分布のことです。ガンマ分布と逆ガンマ分布は密度関数の形が似ていますが、別の分布です(指数の肩に $x$ があるのがガンマ分布、$\dfrac{1}{x}$ があるのが逆ガンマ分布)。

確率変数 $X$ が「パラメータが $\alpha,\beta$ であるガンマ分布」に従うとき、$\dfrac{1}{X}$ は「パラメータが $\alpha,\beta$ である逆ガンマ分布」に従います。

これを証明してみましょう。

$Y=\dfrac{1}{X}$ が従う分布の密度関数を $g(y)$ とすると、
$\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{1}{x^2}=-y^2$
なので、
$g(y)=f(x)\left|\dfrac{dx}{dy}\right|\\
=\dfrac{\beta^{\alpha}}{\Gamma(\alpha)}x^{\alpha-1}e^{-\beta x}\cdot\dfrac{1}{y^2}\\
=\dfrac{\beta^{\alpha}}{\Gamma(\alpha)}y^{1-\alpha}e^{-\frac{\beta}{y}}\cdot\dfrac{1}{y^2}\\
=\dfrac{\beta^{\alpha}}{\Gamma(\alpha)}y^{-\alpha-1}e^{-\frac{\beta}{y}}$
となり、逆ガンマ分布の確率密度関数と一致しました。

逆ガンマ分布のモーメント

$X$ が逆ガンマ分布に従うとき($\alpha > n$ の場合は)
$E[X^n]=\dfrac{\beta^n}{(\alpha-1)(\alpha-2)\dots(\alpha-n)}$
になります。

特に、逆ガンマ分布の期待値は、
$E[X]=\dfrac{\beta}{\alpha-1}$

逆ガンマ分布の分散は、
$E[X^2]-E[X]^2=\dfrac{\beta^2}{(\alpha-1)^2(\alpha-2)}$
となります。

参考:Inverse Gamma Distribution

逆ガンマ分布は正規分布の共役事前分布

(正規分布の平均を固定して分散を推定する文脈において)逆ガンマ分布は正規分布の共役事前分布になります。

なお、パラメータは事前分布→事後分布で、
$\alpha\to \alpha+\dfrac{1}{2}$
$\beta\to \beta+\dfrac{(x-\mu)^2}{2}$
と変化します。

ただし、$\mu$ は既知の平均値で、$x$ は新たに観測されたデータの値です。

共役事前分布の意味と、上記の導出は共役事前分布の意味といくつかの例で解説しています。

次回は 確率変数の和の分布とポアソン分布での例 を解説します。

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