時系列データおよび画像処理における移動平均の意味

移動しながら平均をとっていくことで,データを滑らかにする手法を移動平均法と言う。

「移動平均」と言うと、
1.時系列データに対する移動平均
2.画像処理における移動平均フィルタ
があります。それぞれについて説明します。

時系列データに対する移動平均の定義

まずは、時系列データに対する移動平均についてです。

時系列データに対して、直近の $n$ 個のデータの平均を計算して新しいデータとすることで、もとのデータの特徴を残したまま、ある程度滑らかなデータを得ることができます。この計算を移動平均と言います。

数式できちんと書くと、
時系列データ $a_1,a_2,a_3,\cdots$ に対して、新しい時系列データ
$b_n,b_{n+1},\cdots$ を移動平均と言います。ただし、$b_n=\dfrac{a_1+\cdots +a_n}{n}$ です。
(計算には直近の $n$ 個が必要なので、$b$ の添字は $n$ からスタートすることに注意してください)

簡単な具体例を見てみます。

以下の時系列データに対して、移動平均を計算せよ(ただし、$n=3$ とする)。
$3,4,2,6,4,5,6,7,5,9,10,14,12,13$

解答

「とある時点」の直近の $3$ 個のデータの平均を順々に(つまり「とある時点」をずらしながら)計算していきます。
最初は、$\frac{3+4+2}{3}=3$
次は、$\frac{4+2+6}{3}=4$
その次は、$\frac{2+6+4}{3}=4$
という感じです。全て求めると、
$3,4,4,5,5,6,6,7,8,11,12,13$
となります。

まさに移動しながら平均を取っていく感じです。なお、移動平均の計算方法は他にもたくさんありますが、今回扱った「直近の $n$ 個の平均を取る」という単純移動平均がスタンダードです。

画像処理における移動平均フィルタ

画像が「各ピクセルの値」として表現されているものとします。例えば、白黒画像で、数字が大きい部分は白、小さい部分は黒という感じです。
このとき、自分の「周囲」のマス目の平均値を計算したものが移動平均です。

移動平均フィルタの例

例として、5ピクセル×5ピクセルの画像に対する移動平均を計算したものを図に示します。
左上3×3部分の平均が、
$\dfrac{1+1+1+2+2+2+14+2+2}{9}=3$
となっています。他の部分も同様です。

ただし、今回は「周囲」として「自分を中心とする3×3の枠内」を使いました。「周囲」として他の領域も考えることができます。また、端っこは枠がはみ出るので計算しませんでしたが、強引に計算する方法も考えられます。

移動平均の意味

移動平均は「もとのデータの特徴を持ちながらも、ある程度滑らかであるデータ」を得る手法と言えます。

先ほどの時系列データの具体例で確認してみましょう。青がもとの時系列データ、赤が移動平均後の時系列データです。

移動平均のグラフ

もとの時系列データは「時間の経過につれて徐々に値が増加していく」という特徴(増加トレンド)がありそうです。ですが、途中でギザギザしておりよく分かりません。移動平均を取ることで、増加トレンドがより明確になります!

画像処理の移動平均フィルタも同様の効果があります。つまり「もとの画像の特徴を持ちながらも、ある程度滑らかである画像」を得ることができます。「1ピクセルだけ異常な値が入ってしまった」というようなノイズの除去に使うことができます。

なお、平均を取る際の項数 $n$ や、移動平均フィルタの大きさ(マス目の数)を増やせば増やすほど、移動平均後のデータはより滑らかになりますが、もとのデータの特徴が消えていきます。目的に応じて $n$ を調節する必要があります。

次:変動係数の計算方法と意味
前:多重共線性の意味を数式を使ってきちんと説明する

スポンサーリンク

スポンサーリンク

誤植がございましたら @mathwordsnet までご連絡をお願いいたします。
ページ上部へ戻る