速さと速度は、日常生活ではあまり区別せずに使うことが多いですが、正しくは意味が違います。
この記事では、速さと速度の違いと例を解説します。
速さと速度の違いは?
速度は「スピードの大きさ」と「向き」を表します。
例えば、東向きに $30\:\mathrm{km}/\mathrm{h}$ というのは「スピードの大きさ」と「向き」を表すので、速度です。そのうち「スピードの大きさ」のみに注目したのが速さです。
つまり
・速度は「東向きに $30\:\mathrm{km}/\mathrm{h}$」
・速さは $30\:\mathrm{km}/\mathrm{h}$
はどちらも正しい表現です。
スカラーとベクトル
向きと大きさを持った量をベクトルと言います。つまり、速度はベクトルです。
大きさのみを持った量をスカラーと言います。つまり、速さはスカラーです。
速さは速度の大きさ(絶対値)です。
間違い注意!
速度は「スピードの大きさ」と「向き」を両方表現する必要があります。そのため、
速度は $30\:\mathrm{km}/\mathrm{h}$
という言い方は、厳密には間違いです。
速さは $30\:\mathrm{km}/\mathrm{h}$
という必要があります。
ただし、日常生活で、進んでいる向きが明らかなときには速度は $30\:\mathrm{km}/\mathrm{h}$などと言うこともあります。
速度と符号
速度は軸の向きを決めることで、マイナスを含めた1つの数字で表現することができます。例えば「東向きを正の向きとする」という約束のもとで、
・東向きに $30\:\mathrm{km}/\mathrm{h}$ という速度は $+30\:\mathrm{km}/\mathrm{h}$
・西向きに $30\:\mathrm{km}/\mathrm{h}$ という速度は $-30\:\mathrm{km}/\mathrm{h}$
と表現できます。
つまり、速さは必ず $0$ 以上ですが(軸を決めたもとで)速度は負の数になることもあります。
次回は ベクトルの足し算(図の場合、成分の場合) を解説します。