汎関数の意味を大雑把に解説します。また、汎関数に関する重要な概念の1つとして、ガトー微分の定義も紹介します。
汎関数とは
例えば、$y=f(x)$ という関数のグラフの、$x=0$ から $x=1$ までの長さを $L(f)$ とおきましょう。
すると、曲線の長さを求める積分公式より、
$L(f)=\displaystyle\int_0^1\sqrt{1+f'(x)^2}dx$
と書けます。
関数 $f$ を決めると、長さ $L$ が決まります。つまり、$L$ は関数 $f$ の関数になっています。$L$ のような「関数の関数」のことを汎関数と呼びます。
汎関数の停留点
そのような問題は、汎関数の停留点が満たす、オイラーラグランジュ方程式:
$\dfrac{\partial L}{\partial y}-\dfrac{d}{dx}\left(\dfrac{\partial L}{\partial y’}\right)=0$
を使うことで解くことができる場合があります。
※オイラーラグランジュ方程式の導出は「変分原理」などで調べてみてください。
例えば、先程の例では $x=0$ から $x=1$ までの長さ $L(f)$ を最小にする $f$ を求める問題に対応します。実際に先程の例でオイラーラグランジュ方程式を計算していくと、$y’y”=0$ という式が得られます。これは、$f(0)$ と $f(1)$ が与えられたもとで、この2点を結ぶ長さ最小の曲線が直線であることを表しています。直感的には当たり前の結果ですが、面白いです。
ガトー微分
そもそも微分とは、大雑把には「入力をちょっと変化させたときに出力がどれくらい変化するか」の割合の極限です。
そこで「汎関数の入力 $f$ をちょっと変化させて $f+\varepsilon g$ としたときに出力がどれくらい変化するか」の割合の極限を書いてみると、
$\displaystyle\lim_{\varepsilon\to 0}\dfrac{L(f+\varepsilon g)-L(f)}{\varepsilon}$
となります。$\varepsilon$ は実数で、$f$ と $g$ は関数です。
上式の極限が存在する場合、この極限値のことを$L$ の、$f$ における、$g$ 方向のガトー微分などと言います。
ガトー微分は、方向微分と非常によく似た定義です。方向微分の汎関数バージョンと言うことができるでしょう。
関連:方向微分の意味と求め方
次回は 確率密度関数から期待値と分散を求める方法 を解説します。