繁分数式の問題と2通りの解き方

最終更新日 2018/05/07

繁分数式とは、$\dfrac{1+\frac{1}{x}}{1+\frac{2}{x}}$ のように、分数式の分母や分子に、さらに分数式が入っているようなもののことです。

繁分数式の読み方は「はんぶんすうしき」です。例題を解いて繁分数式に慣れましょう。

繁分数についての用語の確認

繁分数とは、$\dfrac{1+\frac{1}{5}}{1+\frac{2}{5}}$ のように、分母や分子に、さらに分数が入っているようなものです。「分数分の分数」と言われることもあります。

分数式とは、$\dfrac{2}{x+1}$ のように、$x$ などの文字が分母に含まれるような分数のことです。

繁分数式とは、$\dfrac{1+\frac{1}{x}}{1+\frac{2}{x}}$ のように「分数分の分数」であるような分数式のことです。

繁分数式の基本的な問題

例題1:
繁分数式 $\dfrac{1+\frac{1}{x-1}}{1+\frac{2}{x-1}}$ を簡単な形に変形せよ。

解答1
分母と分子に同じものをかけても分数としては変わらないことを利用します。
分母と分子に $x-1$ をかけると、
$\dfrac{(1+\frac{1}{x-1})\times(x-1)}{(1+\frac{2}{x-1})\times(x-1)}\\
=\dfrac{x-1+1}{x-1+2}\\
=\dfrac{x}{x+1}$

解答2
大きな分数の分子と分母をそれぞれ計算するやり方もあります。
分子は $1+\dfrac{1}{x-1}=\dfrac{x}{x-1}$
分母は $1+\dfrac{2}{x-1}=\dfrac{x+1}{x-1}$
なので、

$\dfrac{1+\frac{1}{x-1}}{1+\frac{2}{x-1}}\\
=\dfrac{x}{x-1}\div\dfrac{x+1}{x-1}\\
=\dfrac{x}{x-1}\times\dfrac{x-1}{x+1}\\
=\dfrac{x}{x+1}$

($\div \dfrac{b}{a}$ は $\times\dfrac{a}{b}$ と考えましょう。)

繁分数式の難しい計算

繁分数式の例題をもう一問解いてみましょう。次は、分数の分数の分数です!

例題2:
繁分数式 $\dfrac{1}{x+\dfrac{1}{x+\dfrac{1}{x+1}}}$ を簡単な形に変形せよ。

解答1
いきなり大きな分数を考えるのは大変なので、まずは、分母の右側
$\dfrac{1}{x+\dfrac{1}{x+1}}$
について考えます。これは分母と分子に $x+1$ をかけることで、
$\dfrac{x+1}{x^2+x+1}$
となることが分かります。よって、もとの分数は
$\dfrac{1}{x+\dfrac{x+1}{x^2+x+1}}$
となります。この分母と分子に $x^2+x+1$ をかけると、
$\dfrac{x^2+x+1}{x(x^2+x+1)+(x+1)}\\
=\dfrac{x^2+x+1}{x^3+x^2+2x+1}$
となります。

解答2
$\dfrac{1}{x+\dfrac{1}{x+\dfrac{1}{x+1}}}$
の1番下側の分数を計算すると、
$\dfrac{1}{x+\dfrac{1}{\frac{x(x+1)+1}{x+1}}}$
となります。これは
$\dfrac{1}{x+\dfrac{x+1}{x(x+1)+1}}\\
=\dfrac{1}{x+\dfrac{x+1}{x^2+x+1}}$
となります。さらに分母を計算して整理すると、
$\dfrac{1}{\frac{x(x^2+x+1)+x+1}{x^2+x+1}}\\
=\dfrac{x^2+x+1}{x^3+x^2+2x+1}$
となります。

繁分数に関する補足、まめ知識

「繁分数」という言葉と「連分数」という言葉はほとんど同じ意味で使われることもありますが、微妙に意味が違います。

繁分数の中でも $a_0+\dfrac{1}{a_1+\dfrac{1}{a_2+\dfrac{1}{a_3+\cdots}}}$ のような形のものを連分数と呼びます。繁分数式という言葉はときどき使いますが、連分数式という言葉は聞いたことがありません。

次回は 複素数の絶対値の意味と計算問題 を解説します。

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