フィボナッチ数列について、意味、漸化式、一般項、黄金比との関係などの知識を整理しました。
フィボナッチ数列とは
具体的には、
$1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,\dots$
というのがフィボナッチ数列です。
例えば、$13=8+5$ というように、フィボナッチ数列の数字は、前の2つの数字の和と一致しています。
フィボナッチ数とは
例えば、$5,8,13$ などはフィボナッチ数ですが、$6,14$ などはフィボナッチ数ではありません。
そしてフィボナッチ数は自然界に多く見られることが知られています。例えば、花びらの枚数はフィボナッチ数であることが多い、と言われています。花びらの枚数が3枚、5枚、8枚であるものはよく見かけますが、花びらの枚数が7枚であるものはあまり見かけません。
フィボナッチ数列と漸化式
フィボナッチ数列 $\{a_n\}$ は、高校数学で習う漸化式を使うと、
・$a_1=1,a_2=1$
・$a_n=a_{n-1}+a_{n-2}$
と表現することができます。赤い式のように、$a_n$ が $a_{n-1}$ と $a_{n-2}$ で定まるような漸化式を三項間漸化式と言います。
フィボナッチ数列の一般項
フィボナッチ数列の一般項は、$\alpha=\dfrac{1-\sqrt{5}}{2},\beta=\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}$ とおくと、
$a_n=\dfrac{1}{\sqrt{5}}(\beta^n-\alpha^n)$
となります。
例えば、$n=3$ のとき、フィボナッチ数列の3つ目の項は $2$ ですが、実際に
$\dfrac{1}{\sqrt{5}}(\beta^3-\alpha^3)$
を計算すると、$2$ になります(計算は大変なので省略します)。
一般項がこのように表せることは、先ほどの三項間漸化式を解くことによって証明できます。三項間漸化式の解き方は高校数学で習います。知っている人はぜひ証明してみてください。
フィボナッチ数列と黄金比
さきほどの一般項の式に登場した $\beta=\dfrac{\sqrt{5}+1}{2}$ は黄金比と呼ばれる有名な量です。およそ $1.6$ です。「$1:\beta$ という比率は、人間が美しいと感じる比率である」と言われています。
さて、フィボナッチ数列の一般項
$a_n=\dfrac{1}{\sqrt{5}}(\beta^n-\alpha^n)$
において、$|\alpha|<1$ なので、$n$ が大きい極限で $\alpha^n\to 0$ となります。したがって、
$a_n\fallingdotseq \dfrac{1}{\sqrt{5}}\beta^n$
になります。つまり、
$n$ が大きくなると、フィボナッチ数列は公比が黄金比 $\beta$ の等比数列のようにふるまうと言えます。
フィボナッチ数列のその他の性質
・フィボナッチ数列は単調増加です。$n$ が増えると、フィボナッチ数はどんどん増えていきます。
・フィボナッチ数列の隣り合う2つの項は互いに素です。つまり、フィボナッチ数列は「連続して3の倍数が続く」というようなことはありません。
次回は 1からnまでの和を求める公式 を解説します。