分子の有理化と極限の問題

分子を有理化することで極限の値を計算できる場合がある。

~目次~
・平方根を有理化する例
・三乗根を有理化する例(難問)
・分子を有理化する理由

平方根を有理化する例

例題:$\displaystyle\lim_{n\to\infty}(\sqrt{n+1}-\sqrt{n})$ を求めよ。

解答

$n\to\infty$ のとき、$\sqrt{n+1}$ も $\sqrt{n}$ もいくらでも大きくなるので、この式は $\infty-\infty$ の不定形です。

そこで、この式を $\dfrac{\sqrt{n+1}-\sqrt{n}}{1}$ と見て、分母分子に $\sqrt{n+1}+\sqrt{n}$ をかけることで分子を有理化します:

$\dfrac{(\sqrt{n+1}-\sqrt{n})(\sqrt{n+1}+\sqrt{n})}{\sqrt{n+1}+\sqrt{n}}\\
=\dfrac{1}{\sqrt{n+1}+\sqrt{n}}$

この式の分母は $n\to\infty$ で無限大に発散するので、結局 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}(\sqrt{n+1}-\sqrt{n})=0$ が分かります。

三乗根を有理化する例(難問)

$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\sqrt[3]{8+h}-2}{h}$ を計算せよ。

解答

次はけっこう難しいです。$(a-b)(a^2+ab+b^2)=a^3-b^3$ という展開公式を使って分子を有理化します($a=\sqrt[3]{8+h}$、$b=2$ として使う)。

分母分子に $(\sqrt[3]{8+h})^2+2\sqrt[3]{8+h}+4$ をかけると、分子は $(8+h)-8=h$ となります。よって、
$h\to 0$ のとき、
$\dfrac{\sqrt[3]{8+h}-2}{h}\\
=\dfrac{1}{(\sqrt[3]{8+h})^2+2\sqrt[3]{8+h}+4}\\
\to \dfrac{1}{2^2+2\cdot 2+4}$
$=\dfrac{1}{12}$
となります。

ちなみに、これを一般化すると三乗根の微分公式が導けます

分子を有理化する理由

上記の例題のように、そのままでは極限の値を計算できないときでも、分子を有理化することで極限が計算できることがあります。分母の有理化と分子の有理化の主な役割の違いを見てみましょう。

分子の有理化
極限を計算するための式変形の手法の一つ。うまくいくとは限らないが、極限の問題で困ったらやってみるべし。

分母の有理化
答えをきれいな形にする操作。有理化できるのにしない状態を答えとすると、減点されることがあるので絶対にするべき。

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