べき集合の意味と性質を整理しました。
べき集合とは
例題
$A=\{a,b\}$ のべき集合を求めよ。
解答
$A$ の部分集合は、
$\emptyset$、$\{a\}$、$\{b\}$、$\{a,b\}$
の4つなので、べき集合は、
$\{\emptyset,\{a\},\{b\},\{a,b\}\}$
となります。
ポイント
・空集合 $\emptyset$ と、もとの集合そのもの $A=\{a,b\}$ も $A$ の部分集合と考えます。忘れないようにしましょう。
・べき集合の要素は集合です。つまり、べき集合は集合の集合です。「集合の集合」のことを集合族と言うことがあります。
べき集合の要素数
例えば、$A=\{a,b\}$ の要素数は $2$ ですが、この $A$ のべき集合は $\{\emptyset,\{a\},\{b\},\{a,b\}\}$ となり、要素数が $2^2=4$ になっています。
この性質を意識して、$A$ のべき集合を $2^A$ と表記することが多いです。
「$A$ の部分集合を選ぶ」ということは、
「$A$ の各要素に対して、含めるか含めないかの2択を決める」と言い換えられます。
2択を $n$ 回行う場合の数は $2\times 2\times \cdots\times 2=2^n$ になるので、べき集合の要素数が $2^n$ であることが分かります。
特殊な例
・空集合 $\emptyset$ のべき集合は、$\{\emptyset\}$ になります。要素数は $2^0=1$ です。
・べき集合のべき集合を考えることもできます。例えば、最初の例題で
$2^A=\{\emptyset,\{a\},\{b\},\{a,b\}\}$ でしたが、
$2^{(2^A)}$ は要素数が $2^{2^2}=16$ である集合の集合の集合になります。$16$ 個の要素を書き下してみると、
・$\emptyset$
・$\{\emptyset\}$,$\{\{a\}\}$,$\{\{b\}\}$,$\{\{a,b\}\}$
・$\{\emptyset,\{a\}\}$,$\{\emptyset,\{b\}\}$,$\{\emptyset,\{a,b\}\}$,$\{\{a\},\{b\}\}$,$\{\{a\},\{a,b\}\}$,$\{\{b\},\{a,b\}\}$
・$\{\emptyset,\{a\},\{b\}\}$,$\{\emptyset,\{a\},\{a,b\}\}$,$\{\emptyset,\{b\},\{a,b\}\}$,$\{\{a\},\{b\},\{a,b\}\}$
・$\{\emptyset,\{a\},\{b\},\{a,b\}\}$
となります。
次回は 直積集合の意味と性質 を解説します。