べき集合の意味と要素数

最終更新日 2018/10/28

べき集合の意味と性質を整理しました。

べき集合とは

集合 $A$ に対して、$A$ の部分集合を全て集めたものを $A$ のべき集合(冪集合)と言います。

例題

$A=\{a,b\}$ のべき集合を求めよ。

解答

$A$ の部分集合は、
$\emptyset$、$\{a\}$、$\{b\}$、$\{a,b\}$
の4つなので、べき集合は、
$\{\emptyset,\{a\},\{b\},\{a,b\}\}$
となります。

ポイント

・空集合 $\emptyset$ と、もとの集合そのもの $A=\{a,b\}$ も $A$ の部分集合と考えます。忘れないようにしましょう。
・べき集合の要素は集合です。つまり、べき集合は集合の集合です。「集合の集合」のことを集合族と言うことがあります。

べき集合の要素数

要素数が $n$ であるような集合 $A$ のべき集合の要素数は $2^n$ になります。

例えば、$A=\{a,b\}$ の要素数は $2$ ですが、この $A$ のべき集合は $\{\emptyset,\{a\},\{b\},\{a,b\}\}$ となり、要素数が $2^2=4$ になっています。

この性質を意識して、$A$ のべき集合を $2^A$ と表記することが多いです。

べき集合の要素数が $2^n$ であることを証明してみましょう。

「$A$ の部分集合を選ぶ」ということは、
「$A$ の各要素に対して、含めるか含めないかの2択を決める」と言い換えられます。
2択を $n$ 回行う場合の数は $2\times 2\times \cdots\times 2=2^n$ になるので、べき集合の要素数が $2^n$ であることが分かります。

特殊な例

・空集合 $\emptyset$ のべき集合は、$\{\emptyset\}$ になります。要素数は $2^0=1$ です。

・べき集合のべき集合を考えることもできます。例えば、最初の例題で
$2^A=\{\emptyset,\{a\},\{b\},\{a,b\}\}$ でしたが、
$2^{(2^A)}$ は要素数が $2^{2^2}=16$ である集合の集合の集合になります。$16$ 個の要素を書き下してみると、
・$\emptyset$
・$\{\emptyset\}$,$\{\{a\}\}$,$\{\{b\}\}$,$\{\{a,b\}\}$
・$\{\emptyset,\{a\}\}$,$\{\emptyset,\{b\}\}$,$\{\emptyset,\{a,b\}\}$,$\{\{a\},\{b\}\}$,$\{\{a\},\{a,b\}\}$,$\{\{b\},\{a,b\}\}$
・$\{\emptyset,\{a\},\{b\}\}$,$\{\emptyset,\{a\},\{a,b\}\}$,$\{\emptyset,\{b\},\{a,b\}\}$,$\{\{a\},\{b\},\{a,b\}\}$
・$\{\emptyset,\{a\},\{b\},\{a,b\}\}$
となります。

次回は 直積集合の意味と性質 を解説します。

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