剰余の定理の意味、証明、応用形

最終更新日 2019/05/12

剰余の定理とは、整式 $P(x)$ を、$(x-a)$ で割ったときの余りは $P(a)$ になるという定理です。

このページでは、剰余の定理の意味証明を解説します。また、割る式が $(x-a)$ ではなく $(ax-b)$ である応用形についても紹介します。

剰余の定理を使う例

問題:
剰余の定理を使って、$P(x)=x^2+2x-3$ を $x-4$ で割った余りを計算してみましょう。

剰余の定理で $a=4$ としてみると、
$P(x)$ を、$(x-4)$ で割ったときの余りは $P(4)$
であることが分かります。よって、求める余りは $P(x)$ に $x=4$ を代入して、
$P(4)=4^2-2\cdot 4-3=5$
となります。

このように、剰余の定理を応用すれば実際に割り算をしなくても、代入計算だけで余りが計算できます。

剰余の定理の証明

剰余の定理:
整式 $P(x)$ を、$(x-a)$ で割ったときの余りは $P(a)$
を証明してみます。

まず、$P(x)$ を $(x-a)$ で割ったときの商を $Q(x)$、余りを $r$ とおくと、
$P(x)=Q(x)(x-a)+r$
となります。(この式がよく分からない方は、多項式の割り算について復習してみてください)

この式に $x=a$ を代入すると、
$P(a)=Q(a)(a-a)+r$
となります。$a-a=0$ なので、結局 $P(a)=r$ となります。つまり、余り $r$ は $P(a)$ と等しいことが証明されました。

剰余の定理の応用形

問題2:
$P(x)=x^2+2x-3$ を $2x-1$ で割った余りを計算してみましょう。

今回は割る式が $2x-1$ です。$(x-a)$ という形ではないので、剰余の定理をそのまま使うことができません。

このような場合には、以下の剰余の定理の応用形を使います。

剰余の定理の応用形:
整式 $P(x)$ を、$(ax-b)$ で割ったときの余りは $P\left(\dfrac{b}{a}\right)$ になる

よって、$P(x)=x^2+2x-3$ を $2x-1$ で割った余りは、$a=2,b=1$ として、
$P\left(\dfrac{1}{2}\right)=\dfrac{1}{4}+2\cdot\dfrac{1}{2}-3=-\dfrac{7}{4}$
になります。

なお、剰余の定理の応用形の証明は、普通の剰余の定理と全く同じようにできます。

次回は 因数定理の意味と因数の見つ を解説します。

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