長さ L、質量 M の一様な棒について、
重心まわりの慣性モーメントは 121ML2
端点まわりの慣性モーメントは 31ML2
※「重心まわり」とは「重心を通り棒に垂直な軸に関する」の意味です。
重心まわりの慣性モーメント
長さ
L、質量
M の一様な棒の、重心まわりの慣性モーメントが、
IG=121ML2 になることを証明してみます。
重心からの距離が x から x+dx の間にある部分の質量は M⋅Ldx なので、
I=∫−2L2Lx2⋅LMdx=LM∫−2L2Lx2dx=LM⋅12L3=121ML2
端点まわりの慣性モーメント
長さ
L、質量
M の一様な棒の、端点まわりの慣性モーメントが、
I=31ML2 になることを証明してみます。
端点からの距離が x から x+dx の間にある部分の質量は M⋅Ldx なので、
I=∫0Lx2⋅LMdx=LM∫0Lx2dx=LM⋅3L3=31ML2
平行軸の定理
慣性モーメントに関する平行軸の定理:
I=IG+Mh2
を確認してみましょう。
IG:重心まわりの慣性モーメント、121ML2
h:重心と端点の距離、2L
とすると、
IG+Mh2=121ML2+M⋅(2L)2=121ML2+41ML2=31ML2
となり、さきほど計算した I と一致しています。確かに平行軸の定理が成立しています。
平行軸の定理を覚えていれば、I と IG のうち片方を忘れても、もう片方から計算することができます。
棒を分割する
さらに、別の観点で考察してみます。
長さ L で質量 M の棒は、
長さ 2L で質量 2M の棒2本とみなすことができます。
よって、
「長さ L で質量 M の棒の重心まわりの慣性モーメント」は、
「長さ 2L で質量 2M の棒の端点まわりの慣性モーメント」の2倍になります。
これを使うと、
I=31ML2
から、
IG=31(2M)(2L)2×2=121ML2
というように、IG を計算することができます。
次回は 一様な長方形・正方形の慣性モーメントの2通りの計算 を解説します。