ガウス積分に関連する公式を整理しました。
基本的な公式
$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty} e^{-x^2}dx=\sqrt{\pi}$
円周率のルートが出てくる不思議な定積分です。
$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-ax^2}dx=\sqrt{\dfrac{\pi}{a}}$
定数 $a$ をつけた公式です。ただし、$a$ は $0$ 以上とします。以下でも $a$ は正の定数とします。
$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-a(x-b)^2}dx=\sqrt{\dfrac{\pi}{a}}$
平行移動しても定積分の値は変わりません。これは、$x-b=y$ と置換することで分かります。
$\displaystyle\int_0^{\infty}e^{-ax^2}dx=\dfrac{1}{2}\sqrt{\dfrac{\pi}{a}}$
定積分の範囲が $0$ から $\infty$ の場合は値が半分になります。被積分関数が偶関数だからです。
$x$ や $x^2$ などとの積
$\displaystyle\int_0^{\infty} x^{2n+1}e^{-ax^2}dx=\dfrac{n!}{2a^{n+1}}$
ただし、$n=0,1,2,\cdots$
例えば、
$\displaystyle\int_0^{\infty}xe^{-ax^2}dx=\dfrac{1}{2a}$
$\displaystyle\int_0^{\infty}x^3e^{-ax^2}dx=\dfrac{1}{2a^2}$
なお、被積分関数は奇関数なので、積分区間が $-\infty$ から $\infty$ のときは定積分の値は $0$ になります。
$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty} x^{2n}e^{-ax^2}dx=\dfrac{(2n-1)!!}{2^na^n}\sqrt{\dfrac{\pi}{a}}$
ただし、$n=1,2,\cdots$ で、$(2n-1)!!$ は $1$ から $2n-1$ までの奇数を全てかけ合わせたものです。
例えば、
$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}x^2e^{-ax^2}dx=\dfrac{1}{2a}\sqrt{\dfrac{\pi}{a}}$
$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}x^4e^{-ax^2}dx=\dfrac{3}{4a^2}\sqrt{\dfrac{\pi}{a}}$
指数に $ax^2+bx+c$
$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-ax^2+bx+c}dx\\
=\sqrt{\dfrac{\pi}{a}}\exp\left(\dfrac{b^2}{4a}+c\right)=\sqrt{\dfrac{\pi}{a}}e^{\frac{b^2}{4a}+c}$
これは、平方完成をすることで導出できます:
$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-ax^2+bx+c}dx\\
=\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-a(x-\frac{b}{2a})^2+\frac{b^2}{4a}+c}dx\\
=e^{\frac{b^2}{4a}+c}\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-a(x-\frac{b}{2a}^2)}dx$
最後に上記の「基本的な公式」の3つ目の式を使えば導出完了です。
次回は x^2e^{-ax^2}の定積分 を解説します。