sinhx と coshx の意味、および微分と積分公式について解説します。
準備(前提知識)
関数 $\dfrac{e^{x}-e^{-x}}{2}$ はいろいろなところに登場するので、$\sinh(x)$ と書きます。単に $\sinh x$ と書くこともあります。ハイパボリックサインと読みます。
関数 $\dfrac{e^{x}+e^{-x}}{2}$ もいろいろなところに登場するので、$\cosh(x)$ と書きます。単に $\cosh x$ と書くこともあります。ハイパボリックコサインと読みます。
注意:サインに $hx$ を入れたもの $\sin(hx)$ や、コサインに $hx$ を入れたもの $\cos(hx)$ とは全く別物ですのでご注意ください。
sinhx、coshx の微分
$(\sinh x)’=\cosh x$
$(\cosh x)’=\sinh x$
三角関数の微分の公式に似ていますね。これを証明してみます。
まず、定義により $\sinh x=\dfrac{e^x}{2}-\dfrac{e^{-x}}{2}$ なので、これを微分すると、
$(\sinh x)’\\
=\dfrac{e^x}{2}-\dfrac{e^{-x}}{2}\cdot(-x)’\\
=\dfrac{e^x}{2}+\dfrac{e^{-x}}{2}$
となります(合成関数の微分を用いた)。これは $\cosh x$ そのものです!
同様に、$\cosh x=\dfrac{e^x}{2}+\dfrac{e^{-x}}{2}$ なので、これを微分すると、
$(\cosh x)’\\
=\dfrac{e^x}{2}+\dfrac{e^{-x}}{2}\cdot(-x)’\\
=\dfrac{e^x}{2}-\dfrac{e^{-x}}{2}$
となります(合成関数の微分を用いた)。これは $\sinh x$ そのものです!
より一般に、定数 $a$ に対して
$(\sinh ax)’=a\cosh ax$
$(\cosh ax)’=a\sinh ax$
が成立します。
sinhx、coshx の積分
$\displaystyle\int\sinh xdx=\cosh x$
$\displaystyle\int\cosh xdx=\sinh x$
これは微分の公式を逆に使っただけですね。
より一般に、定数 $a$ に対して
$\displaystyle\int\sinh axdx=\dfrac{1}{a}\cosh ax$
$\displaystyle\int\cosh axdx=\dfrac{1}{a}\sinh ax$
が成立します。
次回は tanhの意味、グラフ、微分、積分 を解説します。